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SIDE レナ 眠れない…。 「はあ…」 私は枕元に置いた目覚まし時計を見て溜息を吐く。 午前一時を回っても睡魔が襲ってこないのだ。 いっその事、ずっと起きておこうか?学校が辛いだろうけど、今から寝れたとしても五時間寝れるかどうか。最低でも六時には起きて朝食とお弁当の準備をしないといけないから。 寝過ごして遅刻なんかしたら圭一くんや魅ぃちゃんに迷惑を掛けてしまうだろう。 うん。やっぱり起きておこう。 そう決めた私は頭の中で圭一くんの事を夢想する。 圭一くん…。私の大好きな人。 いつから彼に恋してしまったのだろう。気が付いたら目で圭一くんの事を追ってしまっている自分が居た。 ちょっと意地悪で鈍感。けど、優しくて面白い事を言って皆を笑顔にしてくれる。だから私は毎日が楽しい、圭一くんが転校してくる前よりも楽しいかもしれない。 日に日に私の中で圭一くんへの想いが大きくなっていき、彼の事を想って眠れない日もある。そして…圭一くんに抱かれる妄想をして、火照った身体を自分で慰めてしまう事も多くなってしまうのは自然の流れだった。 初めは些細な切っ掛けだった。 その日、眠れず圭一くんの事ばかり考えて悶々としていた私は、熱くなった身体を冷やそうと、ベッドの脇に置いてあった抱き枕に足を絡ませて強く抱き締めた。 その瞬間身体に電気が走った様な気持ち良さが全身を駆け巡った。 その頃の私は自慰の事なんて、やり方すら知らなかった。 何が起こったか分からなくて頭が混乱したけど、とても気持ちの良い事だというのは解った。 怖い物見たさ的な感じで恐る恐る、また抱き枕を抱き締めると甘く痺れる刺激が襲ってきた。 そして夢中になって抱き枕を抱き締め股を圧迫して擦り付ける。盛りの付いた犬の様に…。 その日から寝る時に自慰をする事が多くなった。 次第に股を圧迫するより手でした方が気持ち良い事に気付き、何度も何度も慰めた。 妄想の中の圭一くんは優しく、時に荒々しく私を求めて来た。 この指は圭一くんの指なんだと思って興奮しつつ、声を押し殺して彼の名を呼びながら果てる。 そして事が済み冷静になってくると、自己嫌悪が私を襲うのが常だった。 大事な仲間を妄想の中でとはいえ慰み者にして彼を侮辱してしまった自分に、又、はしたない事をしてしまった事に。 そんな自分が嫌で何回も、こんな事は止めようと思った。 でも、これで最後だからと言い聞かせながら、また自慰に耽る私が居た。そう自慰する癖が付いてしまったのだ。 絶頂を迎えた時の目の前がフェイドアウトしてフワフワ飛んでいる様な感覚。その心地よい甘さに酔って、忘れる事が出来なくなったのである。 そして今日も…。 いけない事。しては駄目と自分の中の小さな良心が忠告してくる。 でも欲望と欲求に、そのちっぽけな良心は勝てず、ベッドの台に置いてある電気スタンドの電源を付けて、その横に飾っている写真立てを見える位置に持ってくる。 先月の…仲間達で鷹野さんの雛見沢を絶滅させる、おぞましい計画を阻止した後の、綿流しの祭で撮って貰った圭一くんとのツーショット写真。 『二人共、御似合いだねぇ』と揶揄しながらも魅ぃちゃんが撮ってくれた大事な私の宝物。 そんな大事な物を自分の欲望を満たす為に使っても良いのかと残った理性が警告する。 だが今の私には、その背徳感すら興奮材料、つまり『オカズ』になってしまうのだった。 寝間着のボタンを外して胸元から手を差し入れる。 「ん…」 こうして胸を揉んでいると、圭一くんに後ろから悪戯されている気分になる。 「んん…はあ…ん」 そうする内に乳首が熱を帯びた様に熱くてなり硬くなってきた。 自己主張する様にツンと立っているソレを人差し指と親指で摘んで、優しく揉む様にして刺激すると少し痛いけど気持ち良い。 「はぁ…んぅ…ん…ん」 まだ発育途中の身体が成長痛を伴うという事を保健体育の授業で習った。もちろん胸も例外じゃない。私も近頃では、乳首がちょっとした刺激にも敏感に反応してしまうのだ。 身体が大人になっていく過程なのだから仕方無い事だけど…。 もっと刺激が欲しい。そう思った私は寝間着のボタンを全て外して胸をさらけ出す。 少し汗ばんだ肌が夜の涼しい外気に触れ、私は軽く身震いした。両手で胸を揉みながら、先程と同じ様に乳首を刺激してやる。 チクチクとした軽い痛みと共にピリピリとした気持ち良さに脳天が蕩けてしまいそう…。 「ふぅ…ふぁ…あ…けぇ、い…ちくぅん…ふぁ」 ちょっと鼻息荒く、声を押し殺して彼の名を呼ぶ。 脳内の圭一くんが私の乳首を指で弾く。何度も何度も…。 「はっ…はっ…はぅ…」 指で乳首を弾く度に私の身体がピクピクと跳ねる様に反応する。そして私の大事な所も一緒にジンジンと熱っぽくなって刺激を求める。 「はあはあ…はぁん…」 それを内股を擦り合わせモジモジさせて耐える。限界まで我慢してから触った方が気持ち良いと経験で知っているからだ。 「はぅ…あ…あ…んん」 しばらく胸だけを愛撫していたが、そろそろ限界だ。 寝間着のズボンの中へ手を滑り入れて、下着の上から触ってみると微かに水音が聞こえる。 「はぅ…ふ…ひゃっ!」 下着の脇から指を入れて割れ目に沿って触っていたら、指が滑って一番気持ち良い所に…クリトリスに触れてしまい大きな声が出てしまった。 部屋の外に聞こえて無いかな…。 一、二分程待って私は自慰を再開する。 「あっ…う…ん…ん」 下着の上部から右手を入れてクリトリスを中指の腹で転がし、左手で胸を揉みしだく。 蕩けてしまいそうな気持ち良さで頭がボンヤリしながら、顔を横に向けて写真を見ながら呟く 「は、あ…んくっ!…ん!け、圭っ!…一くん…レナは…レナは、とっても悪い子っ!なんだよ…んん」 写真の中で照れくさそうだけど、とびっきりの笑顔で笑う圭一くん。その無邪気な笑顔を私はオカズにしている。 そう思うとゾクゾクとした震えが止まらない。 「はっ…!あっ!ああ…!」 段々声が抑えきれなくなり、そろそろ限界が近いと悟った。 秘部を縦に中指と薬指を使って刺激しながら、親指の腹で素早く上下に擦る。 気持ち良過ぎて、全身が強張る。圭一くんの顔が私の頭の中でチラつく。 まるで圭一くんに私の恥ずかしい姿を見られているみたいだ。 「んぅ~っ!んっ!んっ!!!」 寝間着の端を口に含み思い切り噛みながら私は果てた。 「ふぅ…ふぅ…ん…はぁ…ふぅ」 さっきからヒクヒクと身体が痙攣し続けている。私は口から寝間着を離して呼吸を整えた。 そして下着から手を引き抜き顔の上まで持って行き電気スタンドの灯で照らす。 愛液でびしょ濡れになった手を見たら気分が冷めた。 「はあ…」 私は何をやってるんだろう…。 今晩二度目の溜息を吐き、ティッシュ箱を手繰り寄せる。 身体を起こして、ティッシュを引き出し手を拭く。その後、寝間着と下着を脱いで秘部周辺を綺麗にする。 生え揃ってきた陰毛に付いた愛液を拭き取って、お尻まで垂れた愛液も同じく拭き取る。 何も考えずに淡々と事後の処理を行ない、新しい下着と寝間着をタンスから出して着替える。汗も拭いておけば良かったかな? まあ良いや…学校に行く前にシャワーを浴びよう。 ベッドに寝転がり、写真立てを元の位置に戻す。申し訳無くて写真なんか見れない。 時計を見たら、一時三十分。 あと四時間以上も眠ずに過ごすのかと思うとウンザリする。 電気スタンドの電源を切り、虫の鳴き声に耳を傾ける。 早く朝にならないかな。皆と授業を受けて、お昼ご飯を食べて、部活をして楽しもう。それかダム現場にかぁぃぃ物を探しに行くのも良いかもしれない、そうだ圭一くんも誘ってみようか。 楽しみだな…。 「礼奈。お父さんはもう行くよ。行ってきます」 「お父さん。行ってらっしゃい!お仕事頑張ってね!」 仕事に出かけるお父さんにお弁当を持たせて玄関先まで見送る。 それは、いつもと変わらない朝の光景。 私は再就職したてのお父さんの後ろ姿にエールを送って家の中に入った。 あの後、結局私は寝てしまい、早朝六時に目覚ましの音で起こされた。 二時間寝たかどうか。ふらつく身体を引きずってシャワーを浴び、朝食とお弁当を作って、お父さんと一緒に朝食を食べ、今に至る。 制服の上に掛けていたエプロンを外してテーブルに置く。 「ふわぁ~~」 大きく欠伸をして壁掛時計を見上げる。 そろそろ行くか…私は鞄を持って玄関に向かう。ちょっと足取りがおぼつかないけど大丈夫。 「レナは元気なんだよ。だよ」 声にも覇気が無いかな?でも圭一くんや魅ぃちゃんと合流したらテンションが上がって元気になるはず。 靴を履いて外に出て鍵を閉める。夏の朝独特の涼しさが私を包んだ。 夏の雛見沢は過ごしやすい。日差しは強いけど蒸し蒸ししていないからクーラーも要らない程だ。 「おはようございます!」 「おお!おはよう!レナちゃんは今日も元気だねぇ、気をつけて行くんだよ!」 「はい!行ってきます!」 野良仕事をしているおじさんに挨拶をして、私は先を急ぐ。待ち合わせ場所にある木の下で涼みたいのだ。 寝不足の身体には、この日差しは辛い。徹夜明けならともかく、中途半端に寝てしまったので倦怠感が酷い・・・。 待ち合わせ場所に着いて、私は木の幹に身体を預けて圭一くんが来るのを待つ。 「はぅ…」 空を見上げて、太陽を見たら頭がクラッとした。疲れている時に太陽を直視したら黄色く見えるってのは本当なんだな。 気が滅入ってしまいそうなので、私は腰を屈めて道端の花を見て魔法の言葉を呟く。 「かぁぃぃよう~。白いお花さんが、すっごくかぁぃぃよう~!!」 うん。ちょっと元気になった気がする。 この白い花をお持ち帰りしたいけど草花にだって命があるのだ、惜しいけど諦めよう。 私は腰を上げて、圭一くんの家の方角に目をやる。 まだ来る気配は無い。 再び木にもたれ掛かって夜中の秘め事を思い出す。確かに気持ちは良いんだけど、そろそろ止めよう。あんな事は圭一くんに対して失礼だ。 とは言っても、またしてしまうだろう。そもそも止めれたら悩んではいない。止めれる方法があるなら教えて欲しいくらいだ。 私ってこんなに意思が弱かったかな? そういえば圭一くんも私や魅ぃちゃんをオカズにして、一人でする事もあるのだろうか? 体育の時間に魅ぃちゃんが胸を揺らしながら動く姿とか、私のブルマ姿を目に焼き付けて、お家に帰って自分の部屋でオットセイをシコシコして…。 あ、あはは!圭一くんだって男の子なんだからしてるに違い無いよね? でも、それって私に対して欲情しているって事…なのだろうか。 いつもの悪い私みたいに仲間をオカズにして猿みたいに……止めよう。 私は朝から何を考えているんだ…まるで淫乱みたいじゃないか。 私だって若い女なのだから欲求不満になる事だってあるけど、年中発情期の兎じゃあるまいし、近頃の私はやっぱり変だ。 「…ナ…あ…ってば!」 五月蠅いなあ…今、私は考え事をしているんだ静かにしていてくれないだろうか。 「お~い。レナ~起きてるか~?」 「っ!あ…け、圭一くんお、おはよう!」 「ったく!呼んでも気付かねぇし、何かブツブツ言ってるし。」 「あ、あはは!ご、ごめんね圭一くん。ちょっとボーッとしてたんだよ。だよ!」 気付かなかった。その前にブツブツ言ってたって…まさか聞かれた? 「あ、あのね!ち、違うんだよ!レナは…レナはそんな事考えて無いんだよっ。だよっ!」 「はあ?俺には何の事だか解らないけど・・・ってレナ!顔が赤いぞ!熱でもあるのか!?」 圭一くんが私の額に手を伸ばす。私はそれを避けて言った。 「ううん!レナ寝不足なの!夜中に…んんっ!目が覚めちゃって寝れなかっただけ!」 「あ、ああ。そりゃ大変だったな。大丈夫か?」 「うん。大丈夫だよ。それより行こう?魅ぃちゃんを待たせちゃうよ」 私は圭一くんと並んで歩きだす。 今日の部活は何をするのか、沙都子ちゃんのトラップが段々凶悪になっている事とか、二人で話していると魅ぃちゃんが手を振っているのが見えた。 「圭ちゃんにレナおはよう!」 「おう!おはよう魅音」 「おはよう魅ぃちゃん」 「あれぇ?レナ元気無いねぇ。どしたの?」 「ああ、何でも寝不足らしいぜ。俺は逆に元気が有り余ってるけどな」 「そうなんだ。まあ無理せずに体調が悪くなったら保健室で休みなよ?」 「うん。ありがとう」 「ところで圭ちゃん。朝っぱらから、元気が有り余ってるなんて話をされてもなあ…おじさん困っちゃうよ。くっくっく」 「おお。俺も思春期の少年だから毎朝大変なんだよ」 「はぅ…何が大変なんだろ。だろ?」 わかってる。下ネタに違いない。 「レナ。ほらアレだよ。圭ちゃんのオットセイが毎朝元気一杯になってね…」 「は、はぅ…圭一くんのオットセイが元気一杯…か、かぁぃぃよう」 「くっくっく!よっしゃ。お前ら、とくと見ておけ。圭一様のオットセイの晴れ姿をな!」 と言って圭一くんがズボンのチャックを降ろし始める。 私も悪ノリし過ぎた、そろそろ止めないと。 私と圭一くんとの距離は2メートル程開いている。私は右足を一歩踏み出して… ガクッ 急に右足の膝から力が抜けて私はバランスを崩し、れなぱんを放ちながら圭一くんの方に倒れ込んだ。 「ぐあっっ!?」 拳に何か柔らかい物を捕らえた気がする。そしてそのまま私は地面に倒れ込む。 「ちょっ!?ふ、二人とも大丈夫!?」 魅ぃちゃんが焦った声を出しながら、私達の所に駆け寄って来る。 「け、圭一くん!大丈夫…っ!?」 「…ぐっ!ああ…!うぐっ!」 起き上がった私の目に飛び込んで来たのは、脂汗を大量に流しながら苦悶の表情を浮かべ、股間を押さえて地面でのたうち回る圭一くんの姿だった。 魅ぃちゃんと一緒に圭一くんを急いで診療所に連れて行った。 あの状態はただごとでは無かった。 「ええ…はい。そうです。はい」 魅ぃちゃんは何処かに電話している。圭一くんは今診察中だ。 対して私は待合室のソファーで自分を責めていた。 あの時私が圭一くんを殴ろうとしていなかったら…もっと早く止めていたら…私のせいだ、全部私が悪い。 そのせいで圭一くんの大事な所を駄目にしてしまったかもしれない。と。 「レナ…知恵先生に連絡しておいたよ。今日は遅刻するって」 「…うん」 「あのさ、自分を責めちゃ駄目だよ。わざとした訳じゃないんだし。それにまだ、どうなってんのか分かんないじゃん?」 「ううん。魅ぃちゃん。全部レナが悪いんだよ…レナが圭一くんを傷付けちゃったんだよ。レナが殴っちゃったから」 「…」 沈黙。 重い空気が私達にのしかかる。ただ私は自分を責め、圭一くんが無事な事を祈るしかなかった。 診療室のドアが開き、監督がこちらに向かって来る。 「監督っ!圭ちゃんは大丈夫なの!?」 魅ぃちゃんが監督に詰め寄る。 「ええ。幸い損傷等はありません。少し腫れているだけです。後遺症も無い筈ですから、大丈夫ですよ」 「はあ…良かったぁ」 魅ぃちゃんが溜息を吐いて安堵するのを横目で見た。 そして監督が私の横に座って話し始める。 「竜宮さん。性器はとてもデリケートな部分です。大事には到らなかったので安心してください」 「痛みや腫れは、二、三日で引くでしょう。故意で無かったとはいえ、もう少し考えて行動するべきでしたね。」 「はい…。すみません」 静かな声で監督が私を叱咤する。私は無事で良かったと安心すると同時に圭一くんに申し訳無くて、顔を伏せてポツリポツリとしか話せない。 「強打して痛みの余りショック死する事だってあるんです。今後は気をつけてください」 私はうなづいて肯定し、立ち上がる。圭一くんに謝るのが先決だ。 殴られて罵倒されても仕方無い、私がした事はそれ位されて当たり前なのだ。診察室の前まで行き圭一くんが出て来るのを待つ。 ガチャ 「圭一くん…」 「…よう」 顔色の悪い圭一くんが一言そう言って私を見る。 「圭一くん。ごめんなさい。酷い事しちゃってごめんなさい!」 深々と頭を下げ謝罪する。 すると頭に手が乗せられ優しく撫でられる。 「気にすんな。レナが悪い訳じゃねぇよ。俺が調子に乗り過ぎたのも悪いんだ。顔上げてくれよ、心苦しいからさ」 「でもっ!凄く痛かったよね!ごめんなさい!」 「そりゃそうだけど、もう良いじゃねぇか。何事も無く無事だったんだ。レナも反省して謝ってくれてるし、俺は気にしてないから」 私は恐る恐る顔を上げて圭一くんを見る。まだ痛いだろうに微笑んでくれている。 でも、これでは私の気が済まない。何かしてお詫びするべきだ。 「とりあえず俺は今日学校休むから、二人は学校に行けよ」 決めた。お詫びに看病しよう。押し付けがましいけど、そうでもしないと私の気が済まない。 圭一くんが待合室の魅ぃちゃんの所に行って何か話している。私は遅れて二人の所に行き、こう言った。 「魅ぃちゃん。レナも今日休むよ、先生には適当に言っておいてくれるかな。かな?」 魅ぃちゃんに目配せして伝えると理解したのか 「へ?…ああ~なるほどね。うん、分ったよ。頭が痛いとでも伝えておくよ」 と言ってくれた。 「うん、お願いなんだよ。じゃあ圭一くん行こう」 「ちょっと待て、俺には状況が掴め無いんだけど…」 「レナに圭一くんの看病させて欲しいな…駄目かな?」 腕を組んで圭一くんが考えている。しばらくして圭一くんが口を開く。 「じゃあお願いしようかな。魅音。そういや知恵先生には何て伝えたんだ?」 「圭ちゃんの具合が悪いから診療所に連れて行った。って伝えてあるよ。とりあえず、この事は伏せとく?」 「ああ。騒ぎになると面倒くさいから、腹痛って言っておいてくれ」 「了解!学校が終わったら皆でお見舞いに行くよ!じゃあ、おじさん行くね!」 魅ぃちゃんが、そう言って学校に行き、私達は圭一くんの家に向かった。 ちなみに診察料は要らないらしい、手当てに必要な物まで分けて貰えた。監督ありがとう。 「今日は圭一くんの御両親は居ないの?」 圭一くんの部屋に上がらせて貰い、少し早いけど一緒にお弁当を食べながら聞いてみた。 「ん。何でも親父の師匠って人が倒れたらしくてな。二人して東京に行っちまったよ」 「そ、そっか…」 圭一くんと二人きり…不謹慎だけど胸がドキドキする。 「だから、悪いんだけど晩飯とか作って貰っても良いか?材料は冷蔵庫にあるからさ」 「う、うん!勿論だよ!」 少し声が裏返ってしまった。凄く緊張する。 私が…看病すると言ったんだ。私が今からする事は間違っているかもしれない。でも私の誠意を圭一くんに解って欲しい。 昼食が終り、私は決意を胸に話を切り出した。 「あ、あのね。圭一くん。お願いがあるの…聞いて貰っても良いかな。かな?」 食後のお茶で痛み止めの薬飲んで、圭一くんが聞いてくる。 「何だよ?言ってみ」 心臓がバクバクと音を立てている。顔が熱い。手の平も汗をかいている。緊張して震えも止まらない。 「レナ?」 「圭一くんの…オ、オオオットセイにレ、レナにお薬…ぬ、塗らせて欲しいな!」 「…え?」 ミーンミーンミーン!! 面食らった顔で固まる圭一くんと顔を真っ赤にした私。どちらも口を開かず、部屋の中には蝉の鳴き声だけが響き渡る。 「き、気持ちは有り難いんだけど、流石に恥ずかしいからさ!それにレナだって、こんな汚い物触りたく無いだろ?」 両手をブンブンと振って断る圭一くんに私は四つん這いになって近付いていく。圭一くんはジリジリと後退りし、やがて壁まで追い詰める。 「け、圭一くんのオットセイは汚くなんかないんだよ。だよ。レナに原因があるんだからレナに手当てさせて欲しいな!」 「あ、う…で、でもあれだぞ!昨日の晩寝る前に色々と恥ずかしい事したから匂いとかするぞ絶対!烏賊だぞ!烏賊の匂いがすんだぞ!なっ?汚いだろ?だから…」 「レ、レナだって!そういう事…一人Hするんだよ!今日寝不足なのだって!そういう事してたからなの!だから大丈夫!恥ずかしくないから!」 思わず勢いで言ってしまった。自分でも何故言ったのか解らない。しかし、これで引くも地獄進むも地獄であるという事はハッキリした。 二人して恥ずかしい事をカミングアウトしてしまった事実はどちらにせよ残ってしまうのだから。 再び固まる圭一くんを前にして、後は私の口がマシンガンの様に勝手に言葉を紡いでいく。 「圭一くんの事が大好きで、気になって気になって!我慢できなくって何回も何回も一人でしてしまうの!レナはそういう悪い子なんだよ!だよ!」 もはや関係無い事まで言ってしまう。それも出来れば圭一くんには隠しておきたい自分の想いや恥部まで・・・。恥も外聞も無い。好きな異性に自分の女の部分まで言ってしまい、開き直ってしまったのか寝不足のせいで頭が上手く働かないのか定かでは無い。 ただ解っているのは興奮しながら圭一くんを捲し立てている自分が居るという事だけだ。 「それにっ!それにっ…!」 「解った!解ったから皆まで言うな!落ち着け!深呼吸しろ!」 圭一くんに抱き締められて私は我に帰った。そして自分がしでかしてしまった事を思い返して、血の気が引いていくのを感じる。 「あ…う…」 何か言わなくてはと口を開くが言葉にならない。圭一くんに抱き締められている事と先程の事で混乱しているのは明白である。 「レナ…俺のオットセイに塗ってくれないか?薬を。コイツもレナに塗って欲しくて我慢出来ないんだとよ」 圭一くんが私の手を取って下半身にあてがう。 「ん…圭一くんのオ、オオオットセイが…レナに…?」 生唾を飲み込んで圭一くんの言った事を反復して言う。まだ痛いだろうから軽く触れるだけ、でも布越しでも熱く、硬くなってるのを感じる。 「ああ。それにコイツもレナにイジメられて泣いてるんだよ。だから仲直りしないと駄目だろ?」 「う、うん。そうだよね。オットセイと仲直りしなきゃ…うん」 「それにレナから薬を塗ってゴメンナサイしたい言ったんだから、俺も恥ずかしいけど…レナとコイツの為に一肌脱ぐよ」 「は、はぅ…レナの為…」 「そうだよ。正確にはレナと俺の為だけど、比率的には九割はレナの為だ。だから…なっ?」 「う、うん」 端から見たら、圭一くんが私を言いくるめている様に見えるだろう。けど実際は私が圭一くんに迫って、彼が許可をくれただけ。それに圭一くんが言った 『レナの為に』 という、まるで恋人に対して紡ぐ様な言葉に気分が高揚している。それにさっきから、子供をあやすみたいに背中を擦られながら耳元で囁かれ甘く酔っていた。 私は診療所から貰った紙袋の中から軟膏を取り出して、圭一くんを万年床になっている布団の方に手招きする。 「け、けけ圭一くん!ここに来るんだよ!だよ!は、早く!」 二人共、顔を真っ赤にして布団の上で向き合って正座する。 「じゃ、じゃあ!お願いします!」 「こ、こちらこそ!レナの我儘を聞いてくれてありがとうなんだよ!だよ!」 圭一くんがペコリと頭を下げ、私も同じ様に頭を下げる。さぞ滑稽な光景に違いない。 圭一くんが足を崩したのを見て、震える手で圭一くんの学生ズボンのベルトとボタンを外し、チャックを下げる。 「あ、あは…寝て貰った方がやりやすいかな。かな」 圭一くんが寝転がり、私は横に移動した。 下着をオットセイに引っ掛からない様にしてずらしズボンと一緒に膝まで下げる。 「…はぅ」 ちょっと竿…いやオットセイの胴体が赤く腫れていて痛々しい。 そして、お父さん以外の初めて見るオットセイは凄く大きくて元気一杯に上を向いてヒクヒクと動いていた。 「かぁぃぃよう~。オットセイが元気一杯でかぁぃぃよう。…お、お薬塗る前に綺麗に…消毒しておかなきゃ駄目なんだよ。だよ」 それは、ちょっとした好奇心。魅ぃちゃんから借りたHな少女漫画で知った行為を消毒と称して自分を納得させ、してしまう私。 「消毒って…あ!ああ…」 むせ返る様な匂いのするオットセイをゆっくりと口の中へと含んでいく。大きくて全部は入らないけど、顎が外れるんじゃないかってくらい口を開けて、何とかオットセイの頭だけは含む事は出来た。 「ふ…う…じゅる…は…」 初めてだから要領が分らないので、舌で舐めるだけ。圭一くんも、こういう事をされるのは初めてなのだろう。単調に舌を動かしているだけでも身体を震わせてオットセイをヒクヒクさせている。 「レ…レナぁ…!気持ち良い…はぁ…」 オットセイの頭の下は汚れが溜まりやすいらしい、普段は皮が被っているからだとか。そう詩ぃちゃんが言ってた。 詩ぃちゃんの事だから、入院中の悟史くんに同じ事をしてあげているのだろう。私はそこを舌で少し強めの力で擦る、口の中でオットセイがまた大きくなった。 「も…もういいよ!綺麗になっただろう!」 圭一くんが上体を起こし、私の肩を持ってオットセイから離させられた。 「あ…圭一くんに怒られちゃったんだよ。だよ。痛かったのかな?」 涎の垂れた口元を隠す様にして言うと、圭一くんが真っ赤な顔をさらに赤くして言った。 「い、いや!怒った訳じゃねぇし、痛くも無かったぞ!む、むしろ気持ち良かった…ぜ」 「そ、そっか…えへへ。そろそろお薬塗ろっか?」 「お、おう!頼むぜ!」 缶の蓋を開けて指で軟膏を多めに掬って手のひらに馴染ませる。両手がベタベタになっちゃったけど、後で拭くなり洗うなりすれば良い。 両手でオットセイを包み込み優しく揉む様にして軟膏を擦込んでいく。別にやらしい事をしている訳では無いのに、クチュクチュとした音と圭一くんが洩らす吐息が部屋の中に響く。 それだけで私もHな気分になってくる。さっきからアソコが切ない、太股をモジモジさせて我慢するだけで精一杯だ。流石にここでしちゃう訳にはいかないから。 「ん…圭一くん終わったよ」 「はあはあ…う、うん」 目をトロンとさせて返事をする圭一くん。なんだか女の子みたいだ。 軟膏を塗り終わっても私はオットセイから手を離せないでいた。ある事を言おうか迷っている。 このままだと先に進まないし、多分圭一くんも望んでいる事だから言ってしまおう。 上目遣いで圭一くんを見つめる。圭一くんが気付くまで。 私が見ている事に圭一くんが気付いたのを確認して口を開く。 「圭一くんのオットセイ…まだ元気一杯なんだよ。これだと服着れないし…スッキリさせちゃおうか?」 「でも…」 「大丈夫。誰にも言わないレナと圭一くんだけの秘密なんだよ。圭一くんは気持ち良くなりたくない?」 「…なりたい。して欲しい」 かぁぃぃ…。 私はクスッと笑って、またオットセイを揉み始める。本当はシコシコしてあげたいけど、それは痛いだろう。 だからオットセイの頭と、その少し下の辺りを両手で持って愛撫してあげる。 軟膏でヌルヌルしているから、凄く気持ち良いはず…ううん。気持ち良過ぎるのかな? 圭一くんが身体をビクビクさせて声をだしている。 「うあっ!…あうっ!」 「気持ち良い?」 「すげぇ気持ち良い!はあ…う!」 揉む動きから擦る動きに変えると、身を捩らせる。勿論オットセイの先だけ擦ってあげてる。自分でするのとは違う気持ち良さなんだろう。 私が一人でする時と同じ要領で弾き、指を絡めて刺激していると圭一くんの顔が見たくなる。 私も横に寝転がり、圭一くんにすり寄る。身体に胸を押し付けて甘えた声で 「レナに圭一くんの顔見せて?こっちを向いて欲しいな」 と言った。 「うあっ…こ、こうで良いか?」 「うん。ありがとうなんだよ。だよ」 「レナ…!俺そろそろ…」 私は何も言わず、手を素早く動かしてやる。 「う…は、ああ!あ…」 手の平に熱い液体が勢い良く出てくる。オットセイがビクンビクンと脈打って何度も精液を吐き出す。私は全部出しきるまで手を休めない。 吐き出す物が無くなっても脈打っているオットセイから手を離して見てみると、両手共、軟膏と精液でドロドロになっていた。 「凄い出たんだよ。いつもこのくらい出るのかな。かな?」 「はあ…ふ…いや、いつもより多いな。レナがしてくれたからだな」 と言って圭一くんが頭を撫でてくれる。 「はぅ…そうなのかな。かな?」 「ああ。レナがしてくれたから気持ち良かったんだよ」 「うん。分ったよ。あ、圭一くんちょっと水道貸してくれないかな。手を洗いたいから」 「おう。下に降りたら分ると思うから、洗って来いよ」 「うん。ちょっと待っててね」 私は部屋から出て一階へと降りながら考える。 私は越えてはいけない一線を越えてしまったのでは無いかと。もしかしたら、この後部屋に戻ったらお互い気まずくなって関係がギクシャクしてしまうんじゃないか。 私は手を洗って部屋に戻る。階段を上がり終わった所で深呼吸した。 あと数歩歩いて襖を開けたら嫌でも結果が解る。そう思うと足が竦む。 けど勇気を振り絞って足を進めるて襖を開く。 「レナ。さっきはありがとうな。その…気持ち良かったぜ」 私服に着替えた圭一くんが照れくさそうに言った。 「はぅ…御礼を言われる様な事はしてないよ」 「いや嬉しかったぜ。レナがこんなに大胆だとは思わなかったから驚いたけどな」 私は圭一くんの横に座る。 「圭一くん。こんな事をしたレナの事嫌ったりしない?」 私にとって一番の恐怖は日常が壊れてしまう事。引き金を弾いてしまったのは私だが。 でも今の圭一くんを見る限りは大丈夫だろうと漠然に思う。だからこそ確証が欲しかったのだ。 「まさか!そんな事ある訳無いじゃねぇか!むしろ…ん!何でも無い!ともかく俺はレナを嫌ったりしないからさ!」 「…ありがとう。レナは今ホッとしているよ」 ともかく私の心配は杞憂で終わった訳だ。 「ふわぁ…」 気が抜けたら、なんだが眠くなってきた。 「なんだよ。レナも眠たいのか?俺も眠たくてな」 さっき飲んだ痛み止めが効いて来たのだろう。布団に圭一くんが横になった。 「レナも来いよ。一緒に昼寝でもしようぜ。あぁ~。別に何もしないから安心しろ」 布団をポンポン叩いて私に来る様促す。 「何か緊張しちゃうよ」 私は大人しく横になり、圭一くんがしてくれた腕枕に頭を乗せて言った。その優しさが嬉しい。恥ずかしいけど折角の好意を無駄にしたくない。 「俺も同じく。あ、扇風機掛けて良いか?」 私は軽くうなずいた。 扇風機の涼しい風が心地良い。 おやすみ圭一くん…。 <続く> れなぱん!(2)
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薄暗い地下祭具殿の中で、私は虚空を見上げる。 ひんやりと湿った空気が、不思議と心地いい。夏に縁側の下に潜り込むネコというのはこんな気分なのだろうか? もっとも、ここがどんな場所であるかを知っていながら、それでもそんな気分になれるというのは我ながらどうかと思うけれど。 「あの……。魅音さん。それで自分達を呼んだ理由というのは、何なのでしょうか?」 私は視線を彼らに戻す。 いつものように「園崎家次期頭首」としての眼を向けると、彼らの顔が益々固く強ばる。どうやら、何らかの叱責を受けるものと思ってしまったらしい。別に私にそんなつもりはないのだけれど。 確かに、何も彼らに思うところが無いと言えば嘘になる。だがそれは責めるようなものではない。 我ながら臆病だと思う私の心。内心では恐くて震えている。 けれど、覚悟は決まっている。だから、私は声までは震えさせることなく要求を伝える。 “私が詩音と同じケジメを付ける手伝いをしなさい” 彼らは一様に息を呑んだ。 それもそうだろう。よりにもよって自分を犯せと言ったのだ。無理もない。 「あの……冗談……ですよね?」 「冗談などではありません。私は本気です」 困惑した笑みを浮かべる彼らに、私はきっぱりと言い返す。 「そんな。……何故ですっ!? そんなこと、魅音さんにする理由が……筋がありません」 「お願いですから、考え直して下さいや。魅音さんが何を考えているのか、自分にはよく分かりませんが、ですが……どうかご自身のことを大切にして下さい」 血相を変えて、彼らは私を押し止めようと口を開いてくる。 そうだと思う。私だって自分を自分で馬鹿だと思う。 けれど、この生き方を変えることは出来ない。それを変えるということは、私はもう「魅音」ではなくなるということだ。 たとえ結果がどうであれ、私は「詩音」を汚した。「魅音」と「詩音」は常に同じだった。「詩音」の悲しみや苦しみを分かち合うのが「魅音」だ。「魅音」の生き方を継いだ私が、「魅音」としての生き様まで汚すわけにはいかない。 「……私もまた、詩音の行いに対し荷担しました。ケジメを付けなければならない理由ならあります」 「そんなの、黙っていればいい話じゃありませんか。俺らだって、そんなの黙ってます。決して誰にも、誓って言いやしやせん。ですから――」 彼らの……ヤクザにしては随分と良心的なことだが、その言い分も分からなくはない。ひょっとしたら口だけなのかも知れないが、そう言ってくる甘さに私はむしろ好感を覚える。 だが……。 「つまり、あなた達は私の言葉には従えない……そう捉えてよろしいということですね?」 私はあくまでも冷淡に、そう告げる。 彼らはしばし押し黙る。 そんな彼らを私は静かに見詰めて……。 「くっ……しかし、いくら魅音さんのご命令とは言っても……」 私はその言葉に、大仰に溜め息を吐いて見せた。 やれやれ、参ったね。彼らがここまで……意外と強情だとは思わなかった。けどまあ、それならそれでもいい。 「そうですか。そこまで言うなら、私もあなた達には頼みません」 「えっ……? それは……」 一瞬、彼らの表情に安堵の色が浮かぶが、私の顔を見てそういう意味ではないと悟る。 「あなた方を選んだのは、あのとき詩音を犯したのがあなた方だったから。なるべく詩音と同じ条件で……というだけの理由に他なりません。別に、他の人間でも構わないわけです」 そうだね。興宮で詩音に絡んだとかいう不良三人組でも探してみるか。それでなくても、それなりの格好をして誘えば、そういうのに飢えた連中の数人は見付けられそうなものだ。 我ながら、それこそ痴女みたいだと思うが。 数秒後、彼らのうちの一人が重たい息を吐いた。 「…………分かり……ました」 「おいっ!? お前。正気か?」 「仕方ねえだろ。……下手にそれこそ…………よりは、俺達の方がましだろ?」 「まあ……それは……そうだが」 どうやら、覚悟は決まったらしい。 「では決まりですね」 彼らがまた心変わりしないよう、私は直ぐに着物の腰ひもに手を掛けた。これが劇か何かの一場面で、決まり切っていたかのように私はその動作を行う。 手が震えそうになるのを無理矢理押さえ付け、帯を解く。 拘束していたものが無くなり、着物の前が大きく開き……そして私はするりと袖から腕を抜いた。 軽やかに着物が石畳の上に落ちる。 下着は元々身につけていない。それだけで私は一糸纏わぬ姿となった。男の前にそんな姿を晒すという羞恥に顔が赤くなるのを必死に誤魔化す。 「順番は誰からでも構いません。遠慮も要りません。……詩音に……したようにしなさい」 流石にここまでくると喉が渇く。一瞬、つっかえて上手く言えなかった。 「では、自分から参ります」 一瞬の目配せの後、一人の男が私に近付いてくる。確か、最後に詩音を犯した人だったっけ。 彼が私の目の前に立つ。 「それでは魅音さん。少々冷たいですが、横になって下さい」 私は頷き、彼の言葉に従う。 ひやりとした固い感触が私の背中から伝わってくる。 「…………失礼します」 彼は私の脚を大きく開かせ、私の秘部に顔を近付ける。 男の視線が私の秘部に突き刺さるかのようで、私の秘部が意志とは関係無しに震えた気がした。 「…………っ!?」 不意に、秘部からぬめった感触が伝わってくる。知識として知らなかった訳じゃないけど、それが男の舌だと理解するのに、ほんの一瞬とはいえ困惑した。 背筋をぞくりとした感覚が駆け上ってくる。 どうしようもなく恥ずかしくて、気色悪くて、でもそれに反比例するかのように私の体が反応する。 男の舌が私の秘唇を這い回る度……私の秘芯をこね回す度、私の秘部が痺れるような熱を帯びていく。 「んっ……んんっ」 そんな感覚を処理しきれず、私の声から喘ぎ声が漏れる。しかし彼は止めない。ぱっくりと開き、ひくひくと蠢く私の花びらを舌で愛撫し、蜜を啜る。 未経験なのだから、ちょっとは反応が鈍いのでは……と思っていたけど、どうやら私の場合は逆で、むしろ敏感ようだ。私が詩音にしたのと同じように、私の弱いところを責められ、私の秘部はあえなく潤ってしまった。 「はぁっ……あっ……ああっ……」 押し殺すような私の喘ぎ声。その反応を見て、私の体がもう準備万端なのだと判断したのだろう。男が私の秘部から顔を離す。 視線をそちらに向けると、ベルトを外し、ズボンを下ろした。熱を帯びた男のものが露出する。 男が私の上に覆い被さってくる。 「んっ」 屹立した男性器の先が私の入り口に当たり、心ならずも私は声を出してしまう。 「…………本当に、よろしいんですね魅音さん? もう、後戻りは出来ませんよ?」 私の耳元で、彼が努めて冷静に囁いてくる。……けれど、情欲を帯びた荒い息を隠し切れてはいない。 本当のことを言うと、恐い。詩音には悪いけど、逃げ出してしまいたい気持ちはある。でも……やはりそれだけは出来ない。 私は無言で「犯せ」と頷いた。 「では……参ります」 その直後、私の中に男性器が打ち込まれた。 「…………かっ……はっ……んぁっ」 体の中に生じる異物感に、私は目を見開く。 けれど、私の秘部はその熱くて固い肉の塊を締め上げていく。 ぎゅっと目を閉じると、少しだけ涙が零れた。 「大丈夫ですか? やはりお止めになった方が……」 男の不安げな声に、私は深く息を吸って呼吸を整える。 「遠慮は無用と言いました。詩音の時と同様に、構わず続けなさい」 そう答えると、男はしばし瞑目した。 「…………分かりました。それでは詩音さんの時と同様に、なるべく手早く済ませます。辛いかも知れませんが、だらだらと続けるより、その方が負担も軽いかと思いますので」 「……えっ?」 だが言うが早いか、男はピストン運動を再開する。 「はぁっ……あっ……あぁっ」 今までよりも激しく私の中を掻き回し、そして抉ってくる。 気持ちいいとかそんなのはよく分からない。痺れるように熱くて痛いだけ。虚ろで、私の何かが欠けていくという妙な惨めさを味わうだけだ。 荒々しく私の体を陵辱する男を感じながら、やっぱり悟史とは違うとか考えた。悟史だったらきっと、眉根を寄せてむぅとか鳴きながら、抱くんだろうな。 初めての相手が悟史だったなら、私だってきっとこんな……どこか虚しいというかそんな気持ちにはならなかったんだろう。ふと、そんな気がした。 (…………え?) 男に体を貫かれながら、現実逃避気味に残していた理性が疑問符を浮かべる。 (どうして私はこんなときに悟史のことを?) 熱い痺れに喘ぎながら、その答えを探る。 (どうして私は……こんな感情に?) それは、考えるまでもない答え。知っていた答え。ただ、気付かなかっただけ。 (相手が悟史じゃないから?) それは何故? “私も、悟史のことが好きだったから” けれど、今の私の行為は、初めてを悟史と……という機会を永遠に失ってしまうものだ。 ダカラソレガ悲シクテ……。 心の奥底から、感情の波が押し寄せる。 「……っ!!」 ダメだ。 そんな感情、今はダメだ。 忘れろ。忘れるんだ園崎魅音。 「はぁっ……あぁっ……あんっ……くっふっ……んんっ」 私は湧き上がる感情から逃げるように、男のものを受け入れることに意識を集中させた。……とにかく、とにかくとにかく、今は忘れよう。 「あふっ……くぅんっ……んんっ……あんっ」 私の中を犯す男性器の先が子宮にぶつかる度、その刺激が私の頭の中にノイズを生み出すような錯覚を感じる。 「ふぁぁっ……んくっ……んんっ……」 膣壁が彼の節くれ立った部分や反り返った部分に擦られる度、私の秘部からじわりと蜜が溢れていく。 私の上から、発情した男の荒い息が聞こえる。 私の……普段なら絶対に出せないような情欲に染まった声に反応するかのように、男のものが更に私の中で固く熱くなっていく。 そして、彼が苦しげに呻きながら特に激しく腰を私に打ち据えて……。 「はぁっ……はっ……ああああっ」 彼は自分のものを私から引き抜いた。 どろどろに熱くたぎった精液が私の体に降り注ぐ。それを見下ろしながら、私は妙に冷えた感情が湧き上がるのを感じた。 あははは。こりゃいーや。自分が汚れたってよく分かる。最低の気分だ。 薄ら笑いを浮かべながら、私はその場に立ち上がった。 「さあ……次はどちらです?」 そして、それから私は詩音と同様に四つん這いの格好で後ろから犬のように犯され、そして下から突き上げられるように犯された。 それから、私は彼らを解放し、シャワーを浴びてベッドに入り込んだ。声を押し殺して泣いた。きっと、私の胸の痛みは全然詩音が受けたものに届いてなんかいないと思うけれど。悟史の傷の痛みにも届いていないと思うけれど。 しかし、悪い事っていうのは続くものだ。 詩音があれだけ傷付いたっていうのに、あの数日後に悟史がいなくなってしまった。 その事実を知ったときの衝撃は、私自身上手く説明出来ない。とにかく、心の中にぽっかりと大きな穴が空いたようだった。 沙都子なんか、それこそ見ていられなかった。 でも、同時に思う。それなら詩音はどうだったのだろうかと……。 会うのが恐くて、ずっと避けていた。 ……学校にも行っているし、男の人に対する怯えも収まったようだと葛西さんには聞いている。 でも、それでも様子は直接この目で知りたかった。だってたった一人の妹だもの。 それに……結局、私はまだ詩音に謝っていないのだから。 「…………よしっ」 私は大きく息を吸って、鍵を詩音の部屋のドアに差し込む。 「葛西なの? ……大丈夫。鍵は開いてますよ」 「葛西さんじゃないよ。詩音」 出来るだけ穏やかな声で、詩音に告げる。 そして、ドアノブから鍵を引き抜いて、手を伸ばす。 「…………入るよ? いい?」 「……うん」 そんなたった少しのやり取りに、私の緊張が弛緩する。 私はドアを開けて、詩音の部屋に入った。 久しぶりに見る詩音の顔は…………優しい笑顔だった。 「いらっしゃい。魅音」 「うん」 詩音は笑って私を出迎えてくれた。 それが、本当に嬉しかった。 (ごめんね詩音) そして、私は微笑みながら詩音へと近付いていく。詩音の本当の胸中なんて、欠片も理解していないまま……。 ―END―
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雛見沢の冬を、俺は思いっきり舐めていた。 まさか足が隠れるぐらいの雪が降るとは、まったく持って思っていなかった。 おじいちゃん連中は元気に梨花ちゃんと沙都子のために通学路を作るべく雪かきをしているが、 あんまりがんばりすぎるといろいろと取り返しのつかないことになりかねないので、 もうちょっと自分の体を大切にしてほしい。 こんな雪の日にも、部活があるんだと魅音から電話がかかってきた。 雛見沢分校は今、冬休みに突入してる。 なので、魅音の家で部活をする、というわけだ。 都会っ子の俺に、いきなりこんな雪中行軍をやらせるとは。 下手したら春まで俺の体沈みっぱなしだぞ、この雪は。 などと、魅音に言えるだけの文句を考えながら、なんとか園崎邸へとたどり着いた。 ここからがまた長いのだが。 立派な玄関の呼び鈴を鳴らすと、魅音が走って出てきた。 さすがの魅音もかなりの厚着で、魅音というよりむしろ綿の塊みたいになっていた。 もしかして、寒さに弱いのだろうか。 「圭ちゃん、よく来てくれたね、ささ、早く上がって! 皆はもう待ってるよ!」 「おう、死ぬかと思ったぜ、魅音。これが園崎のやり方かよって何回思ったか」 文句を笑顔で言う。魅音にも冗談が通じたみたいだ。 「うちがやるんだったらもっと金になりそうなことやるよ! こちとらロマンじゃやっていけないのよ! あっはっは」 「おーおー、さすがは次期頭首! 園崎家も安泰だな」 寒い中だったから、さっさと話を切り上げて、家の中へと入っていく。 そこには、皆の姿があった。そう、俺は一番最後だったのだ。 「みぃ、遅いのですよ、圭一」 「あぅあぅ、罰として圭一はボクのためにみかんを剥くのです」 はじめに出迎えたのは、梨花ちゃんと羽入だった。 皆はコタツに足をつっこんだまま、動こうとしない。 「はぅ、羽入ちゃん、自分でみかん剥けないのかな? か、かぁいいよう」 小刻みにぷるぷると震えだすレナ。危ない。禁断症状が出かけている。 「圭一さん、レディを待たせすぎですわー!何か芸のひとつでも見せてくださいませ!」 「さ、沙都子、圭一も大変だったんだよ。 だって、僕たちの家の近くは人が住んでるから雪かきするけど、 圭一のところはほとんど圭一の家だけだろ? 後回しにされるんだよ」 沙都子の悪態に、悟史がフォローを入れる。 この大所帯にも、そろそろ慣れてきた。 ついに部活のメンバーは羽入と悟史、そして最大時には詩音を加え、八人を数えた。 今日は七人で、いったい何をするというのだろうか? ジジヌキなんかはこの大人数でするにはちょっとつらい。 一巡二巡で勝負が決まり、ジジに関わらない人間も出てくるのだ。 ポーカーも七人だと、一人五枚でチェンジ分の余裕を合わせて七十枚必要になってしまう。 五人までなら対応できるが、それ以上はできない。 トランプがテーブル中央にあるのに、まさかトランプ以外のゲームを? 「今日はね、ブラックジャックをやるよ」 「ブラックジャック?」 皆がいっせいに、疑問の声を上げる。 「まぁ、数字を競うゲームだよ。二十一を目指してカードを引いていって、 いろいろな役もあるけど、今回は無し。 二十一に近いほうが勝ちで、同数の場合の強弱はここに書いてあるから」 魅音は、わざわざ用意していたルール用紙を、皆に配った。同時にチップも配る。相変わらず用意のいいやつだ。 賭けのルールは、参加料として最低一枚のチップを払い、その後の賭け量は自由。 親と子の一対一勝負を子の数だけする。 親が勝てば相手の分を取り、子が勝てば賭けた分だけ親から取る。 親は参加料も取れる。 今回の勝負では借金も可能で、一番多く借金をしたものが、 一番多く稼いだやつの言う事を聞くという、過酷な罰ゲームが待っている。 言う事を聞く、なんて限りなくフリーだ。 何をやらされるかわかったもんじゃない。 「チップは一枚百円だからねー」 「そういうの、いけないと思うなぁ」 「じょ、冗談だって、レナ、その孫の手しまって!」 レナが、金銭の賭け行為をしようとたくらむ魅音の野望を、 孫の手のあの丸いゴムがついたほうで打ち砕いた。 あれを脳天にでも叩き込まれれば、あの形に頭蓋が陥没するのは目に見るより明らかだ。 「さて、とりあえず私から親ね。勝とうが負けようが、親は時計回りに回っていくから。 勝負は常に青天井! いくらでも張っていいよ! 二十五回勝負で総チップの多い人が勝利!」 確認、五枚分四つ、一枚分五つの、合計二十五枚分のチップを渡されている。 つまり、参加料だけでのらりくらりと張っていけば、二十五回は遊べるわけだが、 そんなのでトップになれるはずがない。とりあえず、俺は強気の姿勢でいくつもりだ。 最初に渡されたカードは……ハートの三とクラブの七……平均値より下回っている。 このゲーム、五十二枚中、十が十六枚もあるのだ。 そのことはルール用紙ですでに把握している。 三枚に一枚は十が信頼できる。 加えて、場の十の数で、次に引くカードは結構想像できる。 そう、それぞれの数は親以外、公開されている。 親は好きなほうを片方だけ公開するという権利を与えられている。 それでハズレの予想をさせるのが親が取ることのできる戦略だ。 「どうしたの、圭ちゃん? 怖気づいてるの?」 場の十の数は、魅音の未知数を十としたとして、三枚しかなかった。 この場には、十四のカードがあり、そのうち十三枚が公開され、そしてそのうち二枚、十が確定している。 これは確率的に異常なことだ。 なんせ、山からすべての三分の一も出ているというのに、十のカードの三分の一、 すなわち五枚という数字を、三枚も下回っているのだ。 かなりの確立で次は十を期待できる。魅音の公開札は七。 そして、俺は十。ここで十を引けば、俺はほぼ安全圏。 なぜなら、二十という数字を超えるのは二十一しかないのだ。 対して、数字の低いカードがことごとく皆の手に回っている。 そこから、魅音の伏せた一枚が十である可能性が飛躍的にアップする。 さらに先ほどの計算から導き出される解から、魅音はまず引かないだろう。 引けば死ぬ。もう一枚が三か四でないかぎり、あまり引きたくは無い状況だ。 三は俺を含めて三枚出ている。まずありえない。 四は二枚しか出ていないが、これも無いだろう。 残る二とエースは全くの未知数。 こいつは、なかなか緒戦から熱くさせてくれる! 「さぁ、どうしたの? 引くの?」 「もちろん引くぜ!」 二十! 思ったとおりだ。 「くっくっく、圭ちゃんなかなか運がいいじゃないの」 ほかの皆は、悟史を除き好調だが、俺には及ばない。 悟史はいきなりブタになっている。 俺は、無言で十枚分のチップを置く。 のこり十五枚、勝てば三十五枚。 ほかの皆の張りを見る限り、俺が勝てば最初のトップだ。 親の魅音はさすがに全員に勝てば余裕のトップになるが。 「では、勝負!」 魅音が掛け声とともに、カードを一枚引き、すべてを公開した。 七、五、六……十九だ。俺以外のやつ全員に勝ち、十枚の上がりを、俺に丸々取られる形になった。 「撒き餌撒き餌、くっくっく」 そういいながら、皆から巻き上げたチップを、魅音は俺に放り投げてきた。 「三十五枚だぜ? このゲームの総得点数は百七十五。 過半数を取ればまず勝ち確定だから、八十八ほどとりゃあいいんだ。 あと一回同じ賭けをして、その後全賭けしたら詰めだぜ?」 「勝てりゃあね」 「は、はぅ、なんか二人で燃えてるよ……私たちもがんばらないとね、 梨花ちゃん、沙都子ちゃん、羽入ちゃん……あ、悟史くんも。」 「むぅ……レナ、さっきの、最後に僕を出しただけだよね? 忘れてたわけじゃないよね?」 「細かいことは気にしないで。とにかく勝ちにいこう?」 「むぅ、うまくごまかされた気がする……」 かくして、俺と魅音の壮絶なバトルが繰り広げられる。 そう、しょせん皆のは頑張りなのだ。 俺と魅音にあるのは、確信。 必ず勝つという確信なのだ。 「うは、圭ちゃんやるねぇ!」 「魅音こそ……さっきのブラフ、危うく踏みかけたぜ!」 「や、やっぱり私たち、ただのエキストラなのかな? かな?」 「あぅあぅ、ボクと梨花なんて、一言ずつしか喋ってないのです」 「そんなの、わたくしもでしてよ……」 沙都子のトラップワークも、梨花ちゃんの黒魔術(?)も、レナのかぁいいモードでさえ、 俺たちの勢いを止めることはできなかった。お互いが五十のチップを取ったとき、 最後の二十五回戦目を迎えた。ちなみに、ビリは羽入で借金十枚だ。 「あぅあぅ……このままでは魅音か圭一に調教されるのです……」 「羽入、大丈夫よ。二人ともそんな勇気ないから。 せいぜいメイド服着させてご奉仕とか、もうマンネリ化した罰ゲームでお茶を濁すと思う」 「はっ、魅音、どうなんだそのへん?」 「上等、すっごいの用意してあげるよ。安心して、圭ちゃん?」 「はぁ、何で俺なんだよ?」 「一騎打ちしない? あの時みたいに。今日は……最高だったから」 「……たしかに、このまま羽入で確定、っていうのも面白くないなぁ」 「よかった、圭ちゃんが腰抜けじゃなくてさ!」 「なんだとぉ?」 「皆、いいよね?」 魅音が、皆一騎打ちの是非を問う。羽入は全力で肯定していた。 「よし、じゃあ……やろうか」 「お互い公開札は一枚のみ、勝負は”逃げる”か”受ける”か。三回逃げたら負け、でいいな?」 「圭ちゃんからルールを提示されるとはね、いいよ、受けて立とう!」 俺は、魅音から配られたカードを早速確認した。ハートのキングと、スペードのクイーン…… ほとんど勝ちだ。俺は、スペードのクイーンを公開した。 「それでいいの?」 すこし、心臓がはねた。一瞬、見抜かれたかと思ったからだ。 「ああ、いいぜ。おれは勝負する。」 魅音が公開しているのは、ハートの七だった。また、あのパターンだろう。魅音は、三枚目を引く。 「本当に、いいんだね?」 魅音が不適に笑う。 「受けて立ってやる」 「……スリーセブンだよ、圭ちゃん」 魅音がぱらぱらと、七を三枚公開する。 七が三枚……すなわち、二十一だ。 「なんてやつだ……負けたよ、魅音。さすが部長だなぁ!」 「くっくっく、圭ちゃん、罰ゲームはあとで伝えるからねー、さぁ、皆、片付け手伝って!」 「はーい」 早々に勝負を強制的に捨てられた他の皆は、すでに片づけを開始していた。 俺もそれに加わり、罰ゲームからさりげなく逃れようとしたが、魅音に思いっきり襟首をつかまれた。 「はいそこ、逃げない」 「ぐっ」 「明日、学校の特別教室に一人で来ること。いいね?」 魅音はそう囁いて、俺を解放した。 特別教室というのは、いつもの教室の隣にある、園崎家寄贈のテレビとビデオが設置されている教室だ。 そこで教育用ビデオを見たり、男女別のとある教育をする。 都心の学校には普通にあるが、このへんじゃまだ珍しいらしい。 次の日の放課後、俺は罰ゲームの用事があると言って、レナと別れた。 魅音が俺の肩をぽんと叩き、皆を撒く旨を告げる。 俺をどうにかして、皆を驚かせる算段なのだろう。 変わっていく過程を見るより、いきなり変わっていた時の方が衝撃力が高い。 たぶん死ぬ。 きっと死ぬ。 「魅音、お手柔らかに」 特別教室は鍵がかかっているわけだが、そこは大人の事情で魅音はいつでも鍵が取り出せる。 というか、この子鍵なくても勝手に入るけど。 特別教室は廊下からはすりガラスで隔離され、庭側からは黒いカーテンで隔離されている。完全な密室だ。 「んじゃ、覚悟はいい? 圭ちゃん?」 「……ああ、いいぞ」 何も提示されていないから、覚悟のしようが無いのだが。 「……罰ゲーム。私に告白すること」 「はぁ? 告白って、罪の告白か?」 「んなわけ無いでしょ! 愛の告白!」 「……なんだよそれ、俺をすさまじい格好に仕立て上げて、みんなの前に拘束した状態で放り投げるんじゃないのか?」 「圭ちゃん、そっちのほうがいいの?」 「嫌です」 即答。きっと魅音は逆を望んでいたのだろう。 そう、自分が選択してしまった罰ゲームというのは、通常よりも一ランク上の状態にされても文句は言えないのだ。 「じゃ、言ってみよう」 「……なんていやあいいんだよ……んー、好きだぜ、魅音。愛してる」 とりあえず、芝居がかった声で言ってやった。さすがに適当すぎたか。 「私もだよ、圭ちゃん」 「これで、終わりか?」 「私も……好きなんだよ、圭ちゃん」 「はぁ? ……み、みおっ!」 突如、魅音が俺に抱きついてきた。魅音の香りは、女の子だった。 髪の毛からシャンプーのいい香りがする。 長い髪だっていうのに、きちんと手入れがされた髪。 ぶっきらぼうに結んだように見えて、実は……細心の注意を払っている髪。 それが、目の前にふわっと広がる。 「圭ちゃん……も、もう一度言うよ。す、好きだから。圭ちゃんのこと、好き……だから……」 さらに強く、魅音が抱きしめてきた。俺は、何も抵抗出来ないで居た。 ただ、そこで硬直している。魅音の胸が、俺の胸に当たる。 柔らかい胸。少し、魅音の顔が見えた。真っ赤だった。 「お、おい、魅音、じょ、冗談だよな?」 「じょ、冗談だよ……あはは、じょ……じょう、うっく……じょ……あは、う、うう、ふえぇ、じょうだん、だから」 馬鹿か俺は。何で魅音が泣いてる? 冗談だから? 馬鹿か俺は? なぁ、馬鹿。おい、馬鹿。何か言えよ、馬鹿! 「魅音、俺ももう一回言う。俺、魅音が好きだ。罰ゲームだって? 何で罰ゲームなんだよ? そりゃ、俺が魅音のこと嫌いだったら罰ゲームなのかもしれんけどよ、俺、魅音のこと好きなんだぜ?」 また芝居臭かっただろうか? ちょっと俺も熱くなりすぎた。 「あはは、圭ちゃん騙された、騙された!」 魅音の手から、目薬が落ちる。 「うぉっ! お前!」 俺が魅音を思いっきり引き剥がす。魅音が机にしりを突き、俺が魅音を机の上に押し倒したみたいな格好になった。 「あ、ご、ゴメン……」 俺、ダメだ。確実に赤くなってるぞ。ああ、からかわれる。死ぬ。死ぬる。 「あー、圭ちゃんに襲われるー」 魅音が泣いたまま、俺を馬鹿にするように笑った。 「だから、ごめんって、ほら」 魅音を引き起こそうとするが、俺の手がはずされる。不思議な感覚だった。 なぜなら、下に向けた俺の手が万歳してるんだから。 「と、私が襲われても、これで金的してKOだから」 俺に護身術をレクチャーするように、魅音は恐ろしいことを言った。 「お、おい、魅音」 「何?」 「ぱんつ、見えてる」 「亜qswでfrgtyふじこlp;。@」 魅音が奇怪な声を上げながら顔を赤くし、スカートを必死にガードする。 そんな長いスカートでパンツが見えるわけないだろ。 「あっははは、ひっかかったひっかかった」 「うりゃ、かにバサミ!」 机に寝転んだままの魅音が、俺の腕ごと両足で挟み込み、締め上げて寄せた。 「うぉ、きゅ、急にすんな馬鹿!」 俺はバランスを崩し、とっさに手を前に出す。とりあえず、手の動きは計画的に。 特に、目の前に女の子が転がってる場合は。 「う、うあぁあ、ご、ごごご、ごめ」 魅音は茹で上がった蛸みたいになって、完全に固まっている。 とりあえず、足を離してもらわないと、手が柔らかい部分にかぶさったままで、 俺の男の子の事情が膨れ上がってくるんですがいかかでしょうか魅音さん。 「け、圭ちゃん、そ、その、手、手どけてくんないかな?」 「いや、その前に足はずしてくれよ。じゃ無いと無理だから」 「圭ちゃんの、えっち」 「はぁ?」 「圭ちゃんの、すけべ」 「だ、だから、足放せって!」 「で、でも……ぁの……けぃちゃんだったら……いいょ」 消え入りそうな声で、魅音は言った。 「は、はぁ……」 気の抜けた返事。また、俺を騙すつもりなのだろう。 「えっちなこと……してもいいよ……その、平気、だから……皆にも、言わない」 魅音は、目を逸らしたまま言った。 「ははぁ、そうかそうか。まぁた俺を騙すんだな、そうはいかねえ」 「ほ、本気だょ」 「そうかそうか、ほら、放せ!」 俺が、一回手のひらに力を込めてやった。きっと、驚いて足の力が緩むだろう。 「あっ、あぅ……け、圭ちゃん、もっと、やさしくして……」 「お、おいおい、放せって」 「だから……ぁの……揉んで……下さい」 魅音は完全に目をつぶっている。あのー、そろそろ胴締めが効いて頭がくらくらしてきたんですけど…… 「冗談はいいから」 「冗談じゃないよぉ、圭ちゃん、嘘だっていいから、ねぇ、 圭ちゃん、そばにいたいよ、圭ちゃん、ねぇ、圭ちゃん、圭ちゃん、圭ちゃん、圭ちゃん」 俺を、足で揺さぶってきた。 俺が必死に胸にあてまいと頑張って開いている手も、そろそろ限界だ。 「ゆ、揺らすなよ、魅音」 「うっく、くぅ、けぃちゃぁん、ううう、うっく……圭ちゃん、圭ちゃん」 魅音は壊れたテープレコーダーのように、何度も何度も同じ言葉を繰り返した。 「も、もう限界だ」 俺は、とりあえず休憩するために、魅音の胸に手を置いた。とりあえず休憩するために。 「あうぅ、あ、あ、あぅ、あぅうう、あぅ、あぅあぅ」 魅音が羽入みたいな声を出しながら、俺を揺さぶり続ける。 俺の理性は少しずつ剥がれ、休憩から一泊にチェンジしつつあった。 「み、魅音っごめんっ!」 「圭ちゃん、圭ちゃぁんっ!」 俺は、ついに自らの手で魅音の胸をもみだした。ああ、やわらかい。 脳が溶けそうだ。もう、ちんちんがわけのわからないことになってる。 「ちょ、魅音、下が大火事、上も大火事、これなーんだ? 正解、俺。た、たのむ、魅音、放して……」 「うっ、け、けいちゃっ、あぅっ、うっ、う、うー……あっ……ふっ……」 冬だというのに、魅音は玉の汗を出して動きを止めた。心なしか、痙攣しているようにも見える。 「お、おい、魅音、大丈夫か?」 ぐたっとした魅音の拘束が解けた俺は、魅音の肩を掴んだ。 「圭ちゃん……好きぃ……圭ちゃん、圭ちゃん!」 俺は、魅音に思いっきり抱き寄せられた。そして、そのまま…… 「み、みお、むぐっ」 口をふさがれる。何か、やわらかいもので。時間が、止まった。 「ぷはっ、も、もう一回、ね?」 「どうしちまったんだよ……魅音?」 俺は、出来る限り優しい声でたずねた。 「もっかいしてよぉ、圭ちゃん……」 魅音は、また泣き出してしまう。俺は、どうしたらいいのか全くわからなかった。 「あの、魅音さん?」 「してよぉ……してよぉ……」 「なぁ、魅音、俺は……その、どっか行ったり、しないぜ?」 「だって、私たち、もうちょっとで離れ離れじゃない……寂しいよ、圭ちゃん」 「そりゃ……仕方がねえよ、俺と魅音は一年違うわけだし……まぁ、でも放課後なら会えるだろ?」 「それじゃ、やだ……私、圭ちゃんと一緒がいい……」 「そんなわがまま、俺に言われてもなぁ……魅音のほうで何とかできねぇのかよ?」 「ぐすっ……そう、そうだね、やるよ、私……決めた、私、圭ちゃんの初めてもらう」 ぐわっ、勝手に決めるな! って、何か俺、この台詞違う場所で聞いたような気がする。 「ちょ、みお」 俺は、今度は押し倒される格好になってしまった。 俺が立ち上がろうと、机に手をつくと、すぐにその手が払われて、倒れこんでしまう。 「ふふ、ムダだよ、圭ちゃん」 「あの、み、魅音さん? ちょっと怖いんですけど……」 「圭ちゃんには……おしおきが必要みたいだね、だって、圭ちゃんのここ、こんなになってる」 否定は出来ない。全く出来ない。 「うわっ、むわってきた、圭ちゃんちゃんと洗ってるの? ここ?」 「洗うって、洗うの? そこ?」 「……サイテー、私が洗ってあげるよ、圭ちゃん」 魅音は、ポケットからティッシュを取り出した。 そして、俺の肌色につつまれたちんちんを、ああ、ちんちんがつかまれつつある、ああ、さらば、ちんちん。 「何言ってんの? 圭ちゃん?」 「え、俺、何か言ってた?」 「うん、ちんちんがどうのこうのって」 「ああ、そ、そうか、いや、ちょっと頭がぼーっとしてて……」 「剥くよ、圭ちゃん?」 「剥くって、何……うぉっ!」 魅音の手が、俺のに触れる。瞬間、感じたことの無い感覚が走った。 「あの、み、魅音、ちょっと、まて」 「いーや、剥くね」 魅音の手が、俺の隆起した局部を、上からすこしずつ……って、 み、魅音、ちょっと、それ、そんなになんの? い、いた。 「あうっ!」 ……爆発した。気持ちよすぎる……一体、魅音は何をしたんだ…… 「ちょっと、圭ちゃん、さっき起きたありのままのことを話していい? 圭ちゃんの皮を剥いたと思ったら、圭ちゃんが射精した……圭ちゃん、早すぎぃ」
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…いつからだろう。 この胸がずきずきとした痛みを訴えるようになったのは。 …いつからだろう。 些細な事で、安らぎを感じるようになったのは。 気がつけば、私の中心にはあなたが居た。 けれど、あなたの中心には誰が居るの? 尋ねようとする度に、いくじのない私が表へ出てくる。 すっかり臆病になってしまった私をみて、貴女は笑うかしら? それとも…。 ……引き当てたのは、小さくてとても大きなきっかけ。 その日のゲームはクラス全体で行うようになって恒例のくじ引きで罰ゲームが決定するものだった。 一人、また一人と脱落者が生まれるたび、阿鼻叫喚の地獄絵図が展開される。 下級生は過激な罰ゲームを平気でくじのなかに混ぜ込んでくる。 女子はさすがに懲りるという事をしっているためか、罰ゲームの内容はおとなしくなる傾向があるが 男子は負けず嫌いな事が災いして次こそはとやや過激な罰ゲームが組まれることが多い。 大体は自分で引いて自爆しているようだが。 そして、私も何とか部活メンバー相手に善戦をしていたが、ここに来てとうとう罰ゲームの対象者に なってしまった。 こうなってしまってはあきらめてくじを引くしかない。 自分の書いたものは自分に被害が無く、且つ相手に絶大なダメージを与えるようなものを選ぶ。 それが基本的な鉄則。 ただし、それを引き当てられるとは限らないのだ。 覚悟を決めて一枚の紙を引き抜く。 中身があらかじめ見えないようにすべておなじ四つ折にしてある紙を開いていく…。 『好きな人に口付けをする』 内容はもちろん公開しなければいけない。 しかし、公開しつつも何度も文章を読み返してみる。 そして、見つけなければいい一文を見つけてしまう。 『注:唇に。ディープに』 ビシッ まるで空間が凍りついたような気がする。 足元から冷気が全身に絡み付いて体温を奪われていくような錯覚。 この文字を見るからには魅音の気がする。 おそらくは圭一か自分が罰ゲームになったらこれを引いて、 不可抗力という事で関係を進めてしまおうという作戦のように思える。 前回のデートで味を占めたのかもしれない。 「さーて、梨花ちゃん、その様子だとかなりごっつい罰ゲームを引いた見たいだねぇ くっくっく…、さあて。どんな中身なのか、発表してもらうよ!」 あ、と思うまもなく魅音が中身を確認する。ニヤリ、と笑みを浮かべて内容を読み上げる。 狼狽する私が冷静になる間もない。 「あー。これは梨花ちゃんにはちょーっとはやいかもねぇ。 じゃあ、引きなおしってこと…「やりますです」」 引き直しをさせようとする魅音にきっぱりとした口調で割り込む。 周りからみれば、顔は真っ赤になっているかもしれない。 「え…でも…いいのかな?」 「…これはボクが引いた罰ゲームなのです。 ボクだけ特別扱いで引き直しをするわけにはいかないのです」 そう、これは罰ゲームなのだ。自分に言い聞かせる。 私はすぐに一人の人物の顔を思い浮かべる。 この罰ゲームをするなら…。 圭一しか居ない。 単純な消去法だ。 同世代のクラスメイトは真っ先に消去。 そういうことをするならもともとの部活メンバーがいい。 レナはお持ち帰りされてしまいそうなので却下。 魅音はこの手のことには弱そうだし却下。 沙都子は…受け入れてくれるかもしれないけれど 「親友」でありそういう対象に見たくない。 だから残るは圭一なのだ。 それに魅音がこんな手を使おうとしていたのはなんだかとても腹立たしかった。 自分でもなんでこんなに腹立たしいのかわからないけれど。 どきどきする心臓を押さえるようにして一度周囲を確かめて圭一の位置を確認する。 『これからキスをする』 そんな事を考えるとまともに顔を見られなくてすぐに視線は足元へ落ちてしまう。 一歩、足を踏み出すたびに緊張は高まっていく。 そして、圭一がここに居ることを確かめるように視線を上げて、にぱーと笑みを浮かべ…。 「え…、梨花ちゃ…」 「これは、ボクのファーストキスなのですよ…。だから、責任、取って欲しいのです」 小さく言えば、圭一に飛びつくように唇を重ねる。 魅音が後ろで「あーっ!あーっ!」などわめいている気がするけれど気にしない事にする。 心臓が早鐘を打っていてとても恥ずかしいけれど魅音にはむしろ見せ付けてやろうと、 そんなことすら考えてしまう。 どのくらいの時間の経過が過ぎ去ったのか、わからないくらいの間の後。 私はゆっくりと圭一の唇から離れる。 そして、目の前の圭一の顔を見る。 驚きと、困惑がありありと浮かぶ表情。 はっ、として全身がまた、冷気に包まれていく。 こんなことをして、圭一に嫌われたらどうしよう。 いや、圭一の事だ。 嫌うことはしないだろうけれど、今までのように馬鹿を言い合えないかもしれない。 そんなことになったら、と思うと体が震える。 熱が引いていくのと同時に、胸の痛みと、恐怖がどんどんわきあがっていく。 「り、梨花ちゃん…」 呆然とした圭一の呟きが、さらに体を寒くしていく…。 そして、私はこの場から…逃げ出した…。 梨花ちゃんが走り出していった背中を、俺はしばらく呆然と見送るしかなかった。 普段の梨花ちゃんなら冗談だという一言もいってにぱーって笑って。 そして狼狽する姿を見る。そう思っていた。 でも、今日の反応はまるで違った。ということは少なくても冗談…は入っていたかもしれないけれど それだけではないということ。 頭が冷えて冷静になってくると梨花ちゃんを放っておくわけには行かないと、教室を飛び出していく。 正直どんな顔をして応えればいいか俺にはわからない。 けれど、あのまま放っておくのはもっと拙い。 梨花ちゃんならこんなとき、どこに行く? 考えろ、今の梨花ちゃんの行動を…。 いつもの冗談で済ませなかったのだから、 ……圭一… 耳に残る声…、どこかで聞いたことがあるような…。 だけど、以前はこの声に導かれて梨花ちゃんを見つけた。 今度も…そんな気がする…と声に導かれるように走っていく。 体育館裏の水のみ場。 俺が今から向かう先にはそれがある。 「梨花ちゃん!」 水のみ場のところでうずくまっていた梨花ちゃんを見つけたところで、 俺は思わず声をかけてしまった。 驚いたような、悲しそうな、そんな表情で俺を見て…、また逃げようとしている!? させるわけには行かない、と梨花ちゃんにしがみついて体を抑える。 細い体を抑えるも、意外とある力で振りほどこうとされてしまう。 「梨花ちゃん、落ち着いてくれ」 「いや、離して、圭一っ」 どうしてこんなに必死でつかもうとしているのか。 ここで梨花ちゃんを離したらどこかに行ってしまいそうで俺も必死で抱きしめる。 ええっと、こんな風に暴れているときってどうすれば… ……キスでもしてあげればおとなしくなりますです。 また、頭の中に声が響くような気がする。 このまま梨花ちゃんの体力が尽きるのをまつ余裕もなく。 反射的に、抱きしめた梨花ちゃんの唇を奪う。 途端にびくん、と体が震えたのがわかった。 少しずつ落ち着いてきたのか力が抜けるのを感じた俺は、 ゆっくりと梨花ちゃんから離れる。 「…梨花ちゃん」 梨花ちゃんの顔は涙でぬれていて、そして纏う空気が変わっている事に気が付く。 「…圭一、おかしいわよね。 今まで、ずっと生きてきて、こんなことは無かったのに。 いつもみたいに、笑おうとしたら怖くなって…。 もし、圭一になんとも思われてなかったらって、それを確かめてしまうみたいで。 自業自得なのに…」 ぽろぽろと涙をこぼしながら、梨花ちゃんの告白を聞いていく。 今まで気が付かなかった、いや、気が付こうとしていなかった心を聞いて、 自分の心にも気が付く。 「ごめんなさい。圭一。 こんな形で気持ちを押し付けて。 ごめんなさい、ごめんなさい…」 逃げるのをやめた代わりに涙をこぼす梨花ちゃんの体をゆっくりと抱きしめる。 梨花ちゃんも逆らわず、ゆっくりと抱き返してくる。 「…寧ろ謝るべきは俺のほうだと思う。 誰かを選ぶことを無意識に避けてきたと思う。 きっと、誰かを選んでしまったら、もう、戻れないから…」 「…圭一、多分、それは圭一の本心じゃない。 ただ、私が今、自分で勝手に暴走して、思いを打ち明けて、同情的になっているだけ。 圭一には魅音もいる、沙都子やレナもいる。 だから…だから…」 梨花ちゃんがゆるく首をふる。 でも、その体は震えている。体温を分けるように抱きしめたまま。 腕の中のこの少女を幸せにする。 「俺は、梨花ちゃんが一番好きだ。 レナも沙都子も、魅音も好きだけど、一番は梨花ちゃんなんだ。 これはうそじゃない、信じて欲しい…」 他の皆には残酷に突き立てられる刃となりえる、選ぶ、という事。 「…圭一、わ、私…、私…」 体の振るえが大きくなっている。 しかし、離れようとせずにぎゅぅっと力を込めて抱きしめてくる。 「ごめんなさい、圭一。 私、あなたにとてもひどい事を言わせたのに。 それなのに、嬉しくて…」 梨花ちゃん顔の顔がこちらを向く。 「圭一、愛しています。こんなにひどい私を受け入れてくれますか?」 俺はその問いかけに口付けで応えた。 「け、圭ちゃーん…」 びくっ! 二人が驚いたように声のした方をみる。 夢中で気がついていなかったが、やや離れたところにクラスメイトが勢ぞろいしていた。 昼ドラも真っ青な場面を全員に目撃された事になる。 血の気が引くとはまさにこの事か。 梨花ちゃんと慌てて距離をとるも、目の前には魅音、レナ、沙都子の三人…。 まず、レナの音速の一撃がほほを思いっきりひっぱたき、 魅音の平手が反対側の頬を倍加した威力でひっぱたかれ、 止めに沙都子の三段盥が頭を直撃する。 「圭一っ!?」 片手で梨花ちゃんを制止する。 激痛にもがいている俺に冷たい瞳をしたレナが…。 「…ね、レナの言ったとおりだったでしょ…?」 そのレナの瞳がやさしくなる。 「まさか、ここまで露骨な展開になるとは思いませんでしたわ」 「へ…?」 きょとん、としている梨花ちゃんと俺。 「いやー。熱かったねぇ。おじさんは半信半疑だったけどね。 おじさん振られちゃったか…」 「…どういう…ことなのです?」 ふふふ、とレナが笑いながら。 「梨花ちゃんと圭一くんに素直になってもらう作戦だったんだよ。 ここ何日かの二人を見てたらね。レナ気がついちゃった」 「ただ、私たちも圭一さんが好きでしたし。 諦めるにしてもきっかけが必要でしたわ」 「だから、一計を案じて二人にくっついてもらおう、って事だね。 おじさんたちを振った代償はでっかいよ~? 後で、エンジェルモートフルコースをご馳走してもらうからね!」 頬と、頭がずきずきと痛むが、レナたちの行動に目を点にしている俺たち。 ここで俺が殴られるのは仕方がないとも思ったが…。 「いいのか?」 少し、まじめな口調で問いを三人に向ける。 「もしも、二人が素直になったらこうしようって三人で決めてたからね」 レナが代表して口を開く。 沙都子も、魅音も同意するように頷き。 「と、言うわけで二人には誓いの言葉を述べてもらおうかね!」 「な、なにぃぃぃぃぃぃ!!」 顔が沸騰したのがわかった。 この、クラス全員の前で言うのか!? いわなくちゃいけないのか!? そう思って狼狽しているところに、梨花ちゃんが俺の手を握ってくる。 顔が、真っ赤になっているがこれは俺も変わらないだろう。 「あの、圭一…。ボクは、圭一のことをあ…愛して…います、です。 これからも、側に居てくれますか?」 …梨花ちゃんは覚悟を決めたらしい。 ここで覚悟を決めなきゃ男じゃない! 「…俺も、えーと、その、なんだ。 梨花ちゃんの事、あ…あ…愛してる。 ずっと、幸せにするために側にいる」 「それじゃ、誓いのキスをしてくださいませ!」 「「なっ!?」」 俺と梨花ちゃんの声が重なる。 お互いの顔を見合わせてさらに赤くなる。 「あーら、先ほどは情熱的な口付けを交わしていたでは在りませんの。 さきほどとなんら変わりはありませんでしてよ」 にやにやとした視線を感じる。ええい、ままよ! なかばやけくそ気味に梨花ちゃんを抱き寄せ、そのまま唇を重ねる。 ぎゅっと抱きしめあう俺たちに、クラスの皆の歓声が上がった…。 選択肢 光輝くかけら 暗黒のかけら
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大 注 意 書 き。 サブタイどおり、 レナ 寝 取 ら れ ものです。 ん……ここは……どこだ? 俺はいったい……どうなった? たしか……そう、俺はゴミ山で富竹さんと会ったんだ。 そこまでは憶えている。 本当はレナを探しに行ったんだが、彼女はそこにはいなかったんだ。 そして代わりにひょっこりと現れた富竹さんとたわいない話をして、その後………。 あれ? その後が思い出せねぇ……なんだっけなんだっけ……う~ん……。 いまだ自分が置かれている状況がわからず、俺はなんとか記憶の糸を手繰ろうとする。 するとかすかにズキリっとした感覚が後頭部に走った。 背後からいきなり殴られでもしたのだろうか……そこはズキズキとした痛みとなって俺の頭の中に響いていく。 頭を殴られたのなら、ここは病院か? または警察か、あるいは自宅にでも連れてこられているはずだろうが。 ここはそんな感じの場所じゃ……。 そんな試行錯誤をしていると、俺はようやく自分のおかれている異常な状況に気が付いた。 あたりが真っ暗だった。 まるで光というものが見えない。 感じられない……。 俺が富竹さんと会った時には、まだ夕方だったはず。 どんな場所にいるにしろ、何らかの光があってもいいはずなのだ。 ……ということはここは屋外ではない? どこかの部屋の中にでもいて、電気が点いていないだけなのか。 それともどこか狭いところに押し込められているのか……。 押入れかどこかか? 最初はそうも思ったが、俺一人が入るには十分な、それでいて広い部屋のような感じだ。 空気の伝わり具合から、なんとなくわかる……分かるような気がした。 ……もう一つ異常なことがある。 本当ならこれを先に言うべきだったのだろうが……。 俺の手足が、何か頑丈なもので拘束されている。 まったく身動きが取れない……。 両手が後ろにまわされていて見えないが、手首には何か冷たい感触がある。 手錠のようなものでもされているのだろうか、動かすとカチャカチャと鉄のような音が聞こえた。 足にも似たような感触がある。 足首のところに同じような拘束がされちるようだった。 両手両足がそう拘束されているのだから、当然立っていられるはずもなく。 俺はまるでイモ虫のように床に這わせられているのだ……。 なんとか動こうとモゾモゾしてみるが、両方ともビクともしない。 動けないのならばあとできることは一つだけ。 声を出そう…と思って口を開けようとしたがそれも無理だった。 口にも何か拘束されるようなもの。 猿ぐつわ?までされていて、悲鳴はおろか声を出すこともできなかった。 ……拘束……監禁……誘拐? そんな言葉が次々と頭の中に浮かび上がってくる。 だが普通、さらうなら女の子とか子供じゃないのか? だいたい一緒にいた富竹さんはどうなったんだ? お、おいおい、ここはどこだよ? だ、誰かそばにいないのかよ、なぁっ!? ……ま、まじかよ。 ま、まじで俺、誘拐されちまったのかよ……じょ、冗談じゃねぇ! そんな嫌な想像ばかり頭を巡っていると、突然、目の前にパっと光が浮かび上がった。 誰かが部屋に入ってきた……? 部屋の中にいると思っていたため、俺はとっさにそう考えたが……ちがうようだった。 よく見るとそれは光ではなかった。 そこだけがくっきりと、四角い形で点灯していたのだ。……何かのモニターのようだった。 それが俺によく見える位置で初めから固定されていたのだ。 真っ暗な部屋の中でテレビだけが点いている、あの感じに似ている。 それが俺の目の前に浮かびあがってきたのだ。 まだこの異常な状況を受け入れられたわけじゃない。 だがこの暗闇の中では、どうしてもそこに目がいってしまう。 俺の五感に与えられた唯一の情報源だからだ。 ましてやそこに写っていく映像は、俺にとって無視できないものだったのだから……。 「だいじょうぶ? もう落ち着いたかい……?」 モニターの中の男がそう話し始める。 どうやらどこか部屋の中の様子のようだ。 白いシーツが張ってある、真新しいベッド。 書類のようなものが乱雑に置かれている机。 いくつかのパイプイスに、何やら医療器具のようなものが置いてある台もみえる。 入江診療所……? まっさきにそれが思いつくが、俺が監督に診察を受けたところとは少なくともちがうようだった。 何よりも驚いたのは、その男が俺の知っている人間だったことだ。 さっき会ったばかりの人間……忘れるはずもない。 富竹さんだった。 彼はその真新しいベッドに腰掛けながら、同じく隣に座っている誰かに言葉をかけているようだった。 そこに誰が座っているのかは写っていない。 モニター……というかカメラというべきなのか。 それは富竹さんがベッドに腰掛けているところしか写していない。 もう少し横にズレれば、そこに誰がいるのかわかるのに……。 そう思った途端、まるでカメラが俺の意思で動いたかのように…クククっとモニターの画面を動かした。 そしてそれは富竹さんの隣に座っていた人物を映し出す。 その人物の姿に、俺はおもわずドキリとした……。 「はい……。 ありがとうございます、富竹さん……」 茶髪の髪に、青色のセーラー服……。 この人物こそ見間違えるはずがない、毎日見てるのだから。 レナだった。 レナが富竹さんの隣に腰掛けながら、彼に何やら声をかけられている。 その表情はどこか寂しげで、元気がないようにみえる。 何かあったのだろうか? まっさきに思いつくのは俺のこの状況だったが、あれからまだそれほど時間が経ってるようには思えない。 まだそれほどの騒ぎにはなってないはずだが……。 意味がわからない。 そもそも犯人(?)はなぜ俺にこんな映像を見せる? 富竹さんとレナが何か関係あるのか? こんなものを見せて、奴に何か得があるのか……? そ、それともまさか、この二人もこの部屋に監禁されてるってのか! ……あぁ、で、でもすぐそこの窓には外が見えてるな……。 富竹さんくらいの大人なら、あんな窓くらいすぐ割って逃げられるはず。 ってことは、ちがうのか? それならなおさら意味がわからねぇ……は、犯人はいったい? 次々沸いてくる想像に頭が混乱しながらも、俺は目の前のモニターに目をやるしかなかった。 身動きの取れない俺にとって、これを見ることだけが唯一残された人間らしい行動だったからだ……。 富竹さんはなおも隣に座っているレナに言葉をかけていく。 レナの肩に手をやりながら、なおかつ二人の座っているところがベッドだというのが気にはなったが、今はそんなこと気にしている場合じゃない。 「あまり気にしない方がいいよ。 その……は、初恋は実らないって言うしね? ははは」 「………はい。そうですね……」 富竹さんの軽はずみな言葉に、レナはやはり元気がなさそうに答えていく。 顔を下に俯かせていて、普段あれだけニコニコ笑っているあのレナと同一人物だとは到底思えない。 なんとなく状況だけで判断すると、富竹さんが意気消沈しているレナを慰めているような…。そんなふうに思える光景だった……。 まだ混乱している頭でなんとかそれだけを理解していくと、富竹さんはレナの肩の手に力を入れていった。 そしてそのまま彼女の体を引き寄せるように……自分の胸へと招き入れていった。 「ほら、もう少しこっちにおいで……? つらいんだろう?」 「あ……はぅ……」 富竹さんの胸に抱き寄せられると、レナは多少困惑した表情を見せた。 だがそのまま、彼の広い胸に顔を寄せていった。 そして富竹さんもそんなレナの顔をギュっと抱き寄せていく……。 まるで恋人同士のような甘い雰囲気。 それが当たり前のように、俺の目の前のモニターで繰り広げられていく……。 ……へ? な、なんですかこれ? なにかの冗談? な、なんでレナと富竹さんが、こんな親しそうにしてんだよ? そもそもなんでレナはそんなに落ちこんでんだよ? そんなに嫌なことでもあったのか? そ、それに……いくら富竹さんだからって、そんな簡単に抱きしめられていいのかよ? そりゃあ普段はあれだけ頼りない人だけど、い、いちおうその人だって、男だぜ? しかもベッドの上でって……これじゃあまるでベッドシーンかなんかじゃねえか? おまえはそんなふうに、簡単に身体を許す人間じゃないはずだろ?……お、おいレナ? いくら頭の中で言葉をかけようと、モニターの中の二人にそれが届くことはない。 それをいいことにレナと富竹さん……富竹の二人は更に会話を重ねていく。 「かわいそうに。 本当に好きなんだね? 圭一くんのことが……」 「………はい」 富竹さんの興味深い質問に、レナは少しだけ間を置いてそう答えた。 こんな異常な状況に立たされているというのに、それを聞いた俺は少しだけ安堵してしまった。 レナが俺のことを好きだという、なによりも嬉しい情報が得られたからだ。 何か落ち込むようなことがあったのかもしれないが、レナは俺のことを好きだという事実。 てっきり片想いだと思っていた俺には、それが何よりも幸運な情報だった。 ナイスだ富竹さん!あれだな? きっとレナは大人な富竹さんに、恋の相談でもしに来たんですね? それでレナはもう圭一くんが好きで好きでたまらないの、なんて言ってきて、富竹さんはそれは正しい感情だよ、なにもガマンすることはないんだ。 って寸法なわけだ! ようやくわかったぜ、この光景の真相が! ははは! 俺が置かれている状況の説明にはまるでなっていないというのに、混乱していた俺はそれですっかり解決した気になっていた。 なりたかったというべきか……。 だが次の彼女の言葉を聞くまでは、本当にそう思っていたんだ……。 「レナは圭一くんのことが好きです………『好きでした』」 ………へ? でした? でしたって、どういうこと? な、なんで過去形なんだよレナ? わざわざ言い直したってことは、間違いじゃないよな? そ、それってつまり……今はもう俺のことを……? さっきまで誘拐されただの慌てていて、今度はレナの告白に有頂天。 そしてまたレナの発言に慌てていく男。 俺はもう、目の前のモニターに釘付けになっていた。 レナの今の言葉が何かの聞き間違いだったと、スピーカーの故障じゃないかと思いながら、ただその四角い画面をジっと見つめていく。 だが俺のそんな期待を裏切るかのように、隣にいた男……富竹は当たり前のようにレナを慰めていった。 彼女のかぁいい顔にスっと手を添えると、柔らかそうな頬を撫でていく……。 「そうだろうね。でももう彼は君の元には戻って来てくれない。 それは君もわかっているんだよね?」 「………はい。圭一くんには、あの子がいるってわかったんです……」 「あの子……?何か見たのかい?」 「はい……レナ、ついさっき見ちゃったんです。あの子と圭一くんが、キスをして愛し合っているところを……」 …………は? な、なんだよ、それ……な、何言ってんだレナ?何の話だ? 俺はそんなことしちゃいない……。少なくとも俺の頭の引き出しには、そんな事実一切ない。 あの子ってのが誰かは知らないが、俺は生まれてこのかたまだ誰ともキスすらしたことがないんだぞ!ましてや、あ、愛しあうだなんて……むしろこっちからお願いしたいくらいだぞ! お、おもわず童貞だと告白しちまったが……でもそれはな?それはレナ、お前とするために俺はずっとずっとガマンしてきたんだ……。色々な誘惑をグっとガマンしてきたんだよ! なぁ……さっきから一体何を言ってんだよレナ。 何か勘違いをしてるんじゃないか……? 俺がそう心の中で問いかけていっても、レナは何も語らずただ落ち込んでいますといった様子だ。 何か確信めいたような……そんな具合を示している。 まるでこの目で『その光景』を見たからこそ、こんなに悲しいんだよと言わんばかりだ……。 「だから、もういいんです。 圭一くんが自分であの子を選んだのなら、レナは諦めないとダメなんです。 あの子とは大切な仲間だし、なおさら……そう……」 「……いい子だねレナちゃん。つらいだろうに……」 そう言って富竹は、今にも涙を流しそうなレナを……レナの身体を強く抱きしめていった。 ガッシリとした体格と、大人の男特有の包容力のようなもので、俺のレナをその胸に抱いていく。 それを見ると、俺の中に何ともいえないモヤモヤとした嫉妬の念が沸き出してきた。 ち、ちがう、ちがうぞレナ騙されるな! そ、そいつに騙されちゃいけない! 何があったか……何を『見た』のか知らないが、それはおまえの誤解だ!絶対勘違いだ! なぜなら俺は、最初からお前を選んでいるからだ! 俺はお前のことが好きなんだぞ、レナ!俺達は両想いなんだぁぁぁ!!! だ、だからいますぐその富竹を引き剥がせぇぇぇぇ!! イモ虫のように縛り付けられ、さるぐつわまでされてる俺の声が届くはずもなく……。 レナは富竹の広い胸の中に顔を埋めていった。 失恋したと思い込み、傷心直後の女の子……これほど落としやすい相手はいないだろう。 ましてや富竹のような大人の男ならば、こういう時どう言葉をかければいいか、どう慰めていけばいいかなどはお手の物なのだろう。それはたとえあのレナであっても、なかなか抗えるものではないということか……。 「ほら、つらいんだろう? 無理することはないよ。 もっと僕の中においで……」 「う……ごめんなさい富竹さん……少しだけ、少しだけレナにこのお胸を貸してください…」 「いいよ……好きなだけ僕の胸で泣くといい。 好きなだけ、ね……」 ついに泣き崩れていくレナを、そっと胸に抱きしめていく富竹。 ……その時、俺は見た。 とても信じられないものを。 有り得ないものを。 レナを抱きしめていた富竹が、とてつもなく邪悪な顔をしていくのを……見てしまった。 普段あれだけいいお兄さんな笑顔を浮かべている奴が、とても醜悪でいやらしい表情を浮かべたのを、たしかにこのモニターごしに見た。 絶対に見た。 そしてそれを俺が見たのを気づいたかのように、奴の声がすぐ耳元で聞こえてきたんだ…。 『やあ圭一くん。聞こえるかい?』 本当にすぐ耳元で言われているようなほどクリアな音。それが俺の耳に入り込んできた。 だがそんなはずはない。 奴は今レナとあの部屋にいるらしいのだから、こんな場所に押し込められている俺に話しかけられるわけがない……。 ……ってことは、この映像は録画したもの? これはリアルタイムの出来事じゃないのか? しかし富竹は俺のそんな想像をあざ笑うかのように、憎たらしい声を耳元に響かせてくる。 『ははは、驚いただろうね? じつは今君の耳には、特殊なイヤホンをはめさせてもらっているのさ。 それで僕の声……というか、心の声のようなものが聞こえるようにさせてもらっているってわけだよ。 わかるかい?』 富竹の言葉に、俺は呆然とする。たしかに耳に何かはめられているような感触がある…。 しかも……心の声だと? 奴の心の声が、イヤホン越しに俺の耳に伝わってきている? そんな馬鹿な! そんなこと有り得ない! 絶対に有り得ない! 有り得ない有り得ない…。 『あははは、それが有り得るのさ、この雛見沢ではね。まあ僕の本業の方の仕事で使っているものだけど、好都合だからこの状況で使用させてもらったってわけさ……いい音だろう?』 本業……? その言葉の意味が気になったが、今はそんなことどうでもいい。 どうやら俺の方の声も奴には聞こえているようだ。ならば今すぐ奴に……富竹の野郎にこんなことやめさせなければ!!! その口ぶりだと……てめえだな!俺をこんなとこに押し込んだのは! 何が目的だ! なぜこんなことをする! というか今すぐ俺のレナからその汚ねぇ手を離しやがれぇぇぇっ!! 『離す? あははは、あいかわらずおもしろいね圭一くん。僕がこんな絶好のチャンス、みすみす逃すわけないじゃないか。 これでもいちおうカメラマンだよ? な~んてね』 何を……何をふざけてやがる! てめぇレナを騙してどうするつもりだ! くだらねえ口車でレナをハメやがって! 俺とあの子が愛し合ってたってのもてめえの仕業か! さっさと俺をここから出しやがれぇ! いくら年上だろうがなんだろうが、この前原圭一の愛する女に何かしたら承知しねえぞおぉぉ!!! 『あはははは、まあまあ落ち着いて。どうせ今の君には叫ぶこともできないんだから、そこでゆっくり見ているといいよ……』 その言葉を言い終えた途端、富竹の声のトーンがワンランク低くなった。 とてもドス黒く、あきらかに悪意をこめているぞといった感じの声……。 それで奴は俺にこう告げていく。 『君の大好きなレナちゃんが……僕に寝取られていくところをね? あはははは』 …………!? なんだって……ね、寝取る? 寝取るってこの、レ、レナをか?今そこで? この俺の見ているモニターの中で……か? レナと、す、するってことかよ? なあ! 俺のことが好きで……今も振られたという誤解だけでそんなにも落ち込んでいる純真なレナを、こ、これからお前がヤっちまうってことかよ! なあおい答えろぉぉぉ!!! 富竹の口から聞き捨てならない言葉を聞くと、俺は背筋が凍るような感覚に包まれた。 いくら心の中で怒号を唱えても、奴のその言葉を撤回させることにはならない。 そして富竹はそんな俺を尻目に、レナにそれを実行していく。 抱きしめていたレナの顔をスっと上げさせると、その唇に……自らの口を近づけていった。 「え……と、富竹さん、あの……?」 「ジっとしてるんだレナちゃん。すぐに何もかも忘れさせてあげるよ……」 「あ、ダ、ダメです……はぅ!……ん、んふぅ……」 一瞬レナは躊躇する仕草を見せたが、富竹はそれを無視しそのままムチュっと唇を重ね合わせてしまった。 一度閉じさせてしまえばこっちのもの…ということか、富竹はニヤリと笑うとレナの唇をおいしく頂いていく。 ハムハムと食べていくように、レナのおいしそうな唇を貪っていく……。 「あふ……と、富竹さ、ダメ……レナは……レナはぁぁ、んぅぅ!」 「無理をしちゃいけないよ。傷ついているんだろう? 僕が慰めてあげるから……」 「で、でも、でもでも、あっ!……はぅ、んぅ……」 富竹は太い腕でガッチリとレナの身体を抱きしめている。 だからレナは力での抵抗はできるはずもなくて……奴とのくちづけを続けていくしかないようだった。 そうしておそらく初めてのキスであろう神聖な儀式を、俺よりも年上の成熟した男と体験していく……。 とても受け入れがたい光景が、俺の目の前で繰り広げられていく……。 や……やめろぉ富竹ぇぇぇ!すぐにレナの唇から離れやがれぇぇぇぇ!!! レ、レナももっと抵抗するんだ! そりゃあ、あ、あんなにガッチリ抱きしめられてりゃ無理かもしれねえけど……そ、それでもそんな男とキスなんてしちゃダメだ! そいつはおまえを食いもんにしてるだけなんだぞ! ただ身体が目当てなだけなんだぁぁぁ!!!! あぁ……そんな、て、抵抗をあきらめるなぁ……身体の力を抜かないでくれぇぇぇ!! 今すぐその手をもう一度奴の胸において、つ、つっぱねるんだ! あぁぁぁキスしちまってる……レナ……う、受け入れるなぁぁぁやめろぉぉぉ……。 ピチュ……ピチュ……ピチャ……。 「ん……あ、あ、はぅ……ふぅぅ♪……と、とみたけさ……あ、あふ……♪」 どうやら舌も使っているらしい。奴はレナの唇を舐めるように、いやらしい音をさせながら唇を貪っているようだ。 その強引でいてなおかつ卓越したキスに、レナはだんだんと身体の力が抜けているようだった。 俺はその卑猥な光景を、ただモニター越しに見つめていくことしかできない。 ピッチリと重なり合っていく、レナと富竹の唇……。それがピチュピチュと絡み合い、だ液が混ざり合っていくところを……ただ見ていることしか……でき……ない……。 ピチュ……ピチャピチャ……ピチャァ……♪ 「んぅ、んふ……。 富竹さん、こんなの、こんなのってダメだよぉ……はぅぅ……」 「ダメじゃないんだよ。 ほら、口を開けてごらん? もっと慰めてあげるよ……」 「んはぁ……ら、らめれす、らめ、らめぇ……あぁぁ……♪」 脱力してしまっているレナの身体に、富竹の濃厚なくちづけを拒む力はない。それを良いことに奴は、ついに舌をレナの口の中にニュルリと入り込ませてしまった。唇を半ば強引に開かせ、ついさっき初めてのキスをしたばかりの彼女の口内までをもジュポジュポと犯していく。富竹のいやらしい舌が、レナのかぁいいお口を蹂躙していく……。 ピチャピチャピチャと、だ液が混ざり合う音がスピーカーから聞こえてくる。レナと富竹がしていく、濃厚なディープキスの証明だった……。 あ、あぁぁあの野郎あの野郎! あんな舌まで絡ませやがって! 俺のレナの唇を……レナのファ、ファーストキスの存分に奪ってやがる! あんな男の汚ねぇだ液で、レナの初めてが汚されてやがる! や、やめろ!やめろぉ富竹ぇ! そ、それ以上俺の大好きなレナを汚すなぁ……性欲の食い物みてえにキスをするんじゃねえぇぇぇぇ!!! 俺の叫びにようやく答えようと思ったのか、富竹はレナとピチャピチャキスをしながらチラっとカメラの方を……俺の方を見た。 『あははは、いやぁ圭一くん。 レナちゃんの唇ほんとに最高だよ。 マシュマロみたいに柔らかくて、おまけに僕の口に吸い付いてくるようないい感触なんだ。 おまけに口の中もとっても温かくて……僕の舌にピチャピチャおいしいだ液をたくさん味あわせてくれるんだよ。 さすが初めてのキスだけあって、とっても初々しい反応だよ。……あぁ、ごめんね? ほんとはこれは君がもらうはずだったのにねぇ、いやぁごめんごめんごめんははははは』 殺してやりたいほど憎たらしい声が、ご丁寧にもレナとキスをしている真っ最中でも俺の耳に届いてくる。 せめて……せめて俺がもっと早くレナとキスだけでもしていれば……。 そんないまさらな後悔だけが頭を通り過ぎていく。 そして奴は濃厚なディープキスを続けたまま、そのままゆっくりとレナの身体をベッドに押し倒していった……。 「あ……ダ、ダメ! こ、これ以上は、圭一くんに悪いです……レナ裏切れない……」 「何言ってるんだい、もう諦めたんだろう? それに…彼があの子とこういうことしているの、『見た』んだよね? だったらおあいこなんじゃないのかな?」 「そ、それは……んぅ! ら、らめれすぅぅぅ……」 レナをベッドに押し倒しながら、富竹は彼女の腕をガッチリと掴みながら離さない。 そして俺の名前を出した彼女の言葉をあっさりと覆すと、それに躊躇したレナの唇をまたもやあっさりと奪っていく……。 ご丁寧にもカメラはベッドのところにも備えてあるようで、カチっとモニターが切り替わると、そこには男と女の子が濃厚なキスをしている場面がありありと映し出されていった……。 「はぅ……。 と、富竹さん……ん、んぅ、んぅ、んふぅ……」 「ほら、そのまま力を抜いてごらん? 身体のほうも良くしてあげるよ……」 「え、そ、そこは、そっちは恥ずかしいよぉ……はぅぅ……」 レナはイヤイヤと首を振ったが、富竹は彼女の上半身のセーラー服にまで手を入れてしまう。 左手を乳房のあるあたりに潜り込ませていき、中でモゾモゾと手を動かしていく。 俺からは服の上から動いているのしか見えないが…レナの胸をブラ越しに揉んでいるのだろう、とわかった。 意外と大きいレナの胸……少なくとも俺の想像では大きいと思っている乳房が、富竹の手のひらの中でグチャグチャに弄ばれていった……。 「あぁ……と、富竹さんダメだよぅ。レナ、レナこんなのって嫌だぁぁ……」 「大丈夫、怖くないから僕に身をまかせてごらん? それに…だんだんとよくなってきてるんだよね?感触でわかるよ。 レナちゃんのおっぱい、僕の手の中で柔らかくなってるからね……」 「う、嘘! 嘘だ嘘です! はぁ……あ、あん、あん……」 あぁ……ち、畜生、ちくしょう! 俺でさえまだ揉んだことないのに……触ったこともないレナの胸を、あ、あんなにモミモミ好き勝手に……くそ、くそくそ、くそぉぉ富竹ぇぇぇぇ!!!! ああでも……でもでも、レナもなんでもっと抵抗しないんだ! そ、そんなちょっと気持ちよさそうな顔までしやがって……あ、あんあん言ってんじゃねえよぉぉぉ! いくら俺に振られたと思っているからって、そんな簡単に身体なんて触らせるんじゃねえよぉ! 女の子の大事な胸を、やすやすとモミモミさせてんじゃねえよぉぉぉぉ!!! モミュ……モミュモミュ、モミュゥ……。 「あふ! はぁ、はぁ、あぁぁぁ……。ダ、ダメぇダメだよぅ……はぁぁ……」 レナのセーラー服の中で、モゾモゾと動いていく富竹の手。 それが動くたびにレナはくすぐったいような……感じているような声をあげてしまっている。 しかも奴のもう片方の手は、レナの下半身にまで伸びているように見えた。 まさか……あ、あの野郎! 『あぁ、いい揉み心地だよ圭一くん。レナちゃんの胸、意外と大きいんだね? 僕の手のひらにモチみたいな柔らかい感触をくれて……。 おまけに先っぽはもうピンピンさ。 コリコリとした感触が指にとても心地いいよ……あぁ、最高だねこのかぁいい乳首は。 それにね……君からは見えないだろうけど、じつはレナちゃんのお尻も揉んでるんだ。モミモミと揉み解しているんだよ。 こっちも大きいんだねぇ彼女は。 ムッチリとしていてとてもいやらしいお尻だよ……これなら将来、たくさん子供が産めるんじゃないかなぁ。 ははは』 レナの身体全体が見えなかった俺にとって、憎たらしい富竹が教えてくれる予想外の情報は、それだけでズキズキと胸をえぐられていくようだった。 レナが富竹に身体を触られている……好き勝手に弄られている。セーラー服の中から乳房をモミモミと揉まれまくり、おまけにお尻まで奴の手で揉みほぐされているらしい。 大好きな女の子が、モニターごしとはいえ目の前で犯されている……。 大人の男である富竹の手で、多少嫌がりながらも感じさせられていくレナの卑猥な姿……。 それを見ていた俺は……不覚にもこの光景に……興奮していた。 「どうだい? おっぱいとお尻を揉まれて、どんな気分だいレナちゃん」 「ん……へ、変なんです。 レナなんだか身体が熱くなって……でもこんなのダメだよぉ…」 「いいんだよレナちゃん、君はまだ圭一くんのことが好きなんだよ。 だからその気持ちは否定しなくていいから、身体だけでも……僕に預けてごらん?」 「はぅ……。 レナは圭一くんが好き……好きだけど、富竹さんにきもちよくされちゃう……」 富竹はいかにも偽善者ぶったことを言いながら、レナのかすかに残っていた抵抗を弱めていく。 あくまでも自分は君を慰めるだけ。 俺への気持ちを無理に否定させず、レナの身体だけを弄んでいくのだ。 なんて卑怯な野郎だ……。 調子に乗った富竹はついにレナのセーラー服を脱がせてしまい、ブラジャーもペロンと捲り上げてしまう。 綺麗なピンク色の乳首が見えていく。 かすかな興奮と共に、このかぁいい乳首をさっき富竹が弄りまわしていたことにムカムカとした感情が湧き上がっていった……。 「は、恥ずかしい……。 レナ、こんなこと初めてで、圭一くんともシタこと……」 「わかってるよ。 できれば彼に奪ってもらいたかっただろうけど、もうそれはできないよね? だから僕が優しく、もらってあげるよ……」 ささやくようにそう言うと、富竹はチュウッとレナの乳首に吸い付いていった。 吸い付いてしまった。 まだ誰の口にも触れられてないピンク色のそれが、男の欲望で汚されていった。 富竹はそのままチュウチュウと音が聞こえるほど強く吸うと、舌を使ってレナの乳首をペロペロ舐めていく。 ピンピンになった肉突起に、ヌラヌラと…奴の舌が汚らしく這い回っていく。 「あ、あん……富竹さん、レナ変なかんじ……おっぱいが、く、くすぐったいよぉ……」 「それはくすぐったいんじゃないんだよ……きもちいいのさ。 レナちゃんは処女のわりには感じやすいね? ここももうピンピンになっちゃってるし……」 「はぅ、そんなピンピンだなんて恥ずかしい……あぁ、そんなちゅうちゅうしちゃダメだよぉ……あぁぁ……」 あぁ……な、なんだよ、なんなんだよレナぁ! お、おまえどうしてそんなに感じて……はぁはぁ言って、顔を赤くしてんだよぉぉぉ! そんなに富竹の奴の舌はいいのかよ、なぁぁぁ? そ、そりゃあ……そりゃあこいつは俺なんかとちがって慣れてるだろう。 童貞の俺なんかとはちがって、何度も何度もセックスを経験しているだろうさ。 そりゃあ上手いだろう……。 普段あんな頼りない感じを見せてたって、やはりそこは成熟した大人の男。 そばに鷹野さんみたいな素敵な女性がいることが、何よりの証明だろう……。 でも……だからってそんな簡単に……こんな簡単に感じたりするなよぉレナぁぁぁぁ……。 『あははは。 ダメだよ圭一くん、レナちゃんを責めたら。 彼女は失恋した直後なんだ、無理もないだろう? こんな時の女性はとても寂しいものなんだよ……あの鷹野さんのような女性ですら、寂しさという感情にはとても弱いんだよ? だからこんなふうに……』 富竹は俺に語りかけながら、ふたたびレナの乳首を舌で舐め盗っていった。 ピチャリ…ピチャリ…とわざと音が出るように舌を動かし、そのかぁいい突起をジュポジュポと食べるようにも飲み込んでいく。 レナはそれをされるたび、あっあっ…とかぁいい声をあげていって……。 真っ赤な顔をして首をイヤイヤするあたり、本当は声なんてあげたくないのかもしれない。 だが富竹の口愛撫はよほどイイらしく、奴の舌で乳首をコロコロ転がされるたび彼女は喘ぎ声をあげてしまうのだ……。 「あっ、あっ……はぁう……ん、んぅぅ……あぁ……♪」 「ほぉら、どうだいレナちゃん。 おっぱいを舌で舐められるのはきもちイイだろう? 寂しい心なんて、身体の快楽がすぐに癒してくれるのさ……」 「お、おっぱいが、おっぱいがビリビリするよぅ……富竹さんの舌がヌルヌルしてて、指も……レナの恥ずかしいとこがビクビクしちゃいます……あん、あん……」 レナは言葉どおり、身体をビクビクさせながら富竹の舌愛撫にもだえていく。 しかも……今ようやく気がついたことだが、奴の手はレナの下半身の前あたりを触っているように見える。 さっきまでお尻を触っていたのだから、次に触るところといえば……まさか! 『うん、そうだよ。 悪いけど圭一くん、僕は今レナちゃんのスカートの中……どころかパンティの中にまで手を入れちゃってるんだ。 指でかぁいい割れ目を弄ってあげてるんだよ……』 それを聞いた途端、俺は愕然とする。 たしかにレナはさっきから乳首への愛撫とは別に、どこか腰をモジモジとさせているふしがあったが……。 じゃ、じゃあレナの恥ずかしいとこがビクビクってのは、つ、つまりあそこのことだったのかよ! あ、あの女の子の一番大事なところまで、もうすでに富竹に弄られまくってるってのかよ! ああそういえばレナの奴あきらかに気持ちよさそうだもんなぁ! たとえ乳首を責められたってこんな色っぽい声出すわけないと思ってたぜあぁあぁわかってた!!! それだけは俺は否定したくて……受け止めたくなくて……あえて無視してただけなんだ…。 想像したくなかった事実を突きつけられ、俺はただ意気消沈していくしかなかった。 だが奴はまたまたご丁寧に、自分が今レナにしている下半身への愛撫を説明していくのだった……。 『見えないだろうから教えてあげるね。 僕は今、指でレナちゃんのかぁいい割れ目を弄ってあげてるんだ。 スリスリスリって、処女だからもちろん優しくだよ? でも彼女はやっぱり感じやすいらしい、もうしっかり濡れているみたいだ。 僕の指にヌルヌルしたものをたくさん付けながらヒクヒクと震えているよ。 あはは、さすがにこれは聞こえないかな? レナちゃんの処女おま○こが、クチュクチュといやらしい音をさせてるんだけどなぁ……』 やめろ……やめろやめろやめろぉそんな音なんて聞きたくねぇそんな説明なんて聞きたくねぇぇ!!! い、いますぐ、レナの大切なところから汚ねぇ指を離せ……離しやがれぇこのクソ野郎ぉぉ……。 自分でもだんだんと弱まっていくのがわかる声を出しながら、俺はまたもや自分の醜い部分に気がついてしまった。 さっき確認したズボンの前が……更にパンパンに腫れあがっていたのだ。 俺は興奮しているんだ。 富竹に……他の男にレナが愛撫されちまっているというのに、性的な興奮を覚えてしまっているんだ。 なんて、なんて馬鹿な男だよ前原圭一……。 富竹の指先で割れ目をクチュクチュと刺激され、いままで感じたことのない快感にあえいでいくレナ……。 はぅはぅあんあん、変な感じだよぉ身体が熱いよぅ富竹さん……。 そんなふうに喘ぐレナをモニターごしに見ながら、聞きながら……情けなくもペニスをギンギンに勃起させているなんて……こんな最低男じゃあ、そりゃああっさり寝取られるわけだ…。 くそ、くそくそくそぉレナぁぁぁ! ああでもその顔かぁいいなぁくそぉぉ! 俺の大好きなレナの喘いでいる顔、息づかい! こ、これをせめて俺の手で出させてやれたら……うぅぅぅぅ…。 『あはははは、そんなにかわいそうな声を出さないでくれよ圭一くん、まったくしかたないなぁ……。 それじゃあ特別に、もっと君に見えやすい視点に変えてあげようか。 ちょっと待っててね……』 その富竹の声を遠くに聞いていると、突然、俺の目の前のモニターがパシュンと消えた。 ふたたびあの真っ暗な闇……それだけが俺の周りを埋め尽くしていった。 あんなにも見たくない光景だと思っていたのに、それがいざなくなると……途端にジリジリとした不安感が俺の胸を襲ってくる。 いま見えてない間に、もしかしてレナは富竹にもっとすごいことをされているんじゃ? すごいことどころか、もしかしたらすでに入れられてしまっていて、あんあん喘がされているんじゃ……? そんな嫌な妄想ばかりが頭の中を埋め尽くしていき、俺は発狂しそうなほどの苦しみに襲われていった。 あれほどやめてくれと願っていたのに、今度は早く見せてくれ……まさかこのままモニターは消えたままなのか……? じゃ、じゃあこのままレナは奴に……? あぁぁぁぁ!!!は、はやく! はやく俺にレナの姿を見せてくれ富竹ぇぇぇ!!! そんな……寝取られている相手に懇願までしてしまう始末にまで追い込まれていった。 だからようやく……ようやくそれが……といっても時間にすればほんの数秒後に、ふたたびモニターが点灯すると俺はとてもつもない安堵感に胸を撫で下ろしてしまった……。 「はぅ……恥ずかしいよぉ……。 と、撮らないでください……」 最初に俺の目に飛び込んできたのは……レナのどアップだった。 恥ずかしそうに顔を真っ赤にしているレナの顔が、モニターいっぱいに写しだされたのだ。 あきらかにさきほどとはちがったカメラ視点……。 というより、これはレナも気がついている撮影のようだ。 つまり彼女のすぐ目の前に、カメラが突きつけられている? そして俺はすぐに気づく。 気がついてしまう。 前にもこんな視点の映像を見たことがあることに……。 それは昔、親父の部屋で見つけたアダルトビデオの映像だった。 そのAVはいわゆる普通の男優、女優、カメラマンという、三人以上の撮影で繰り広げられるものとはちがっていたものだった。 男優と女優……というか、男と女の二人だけで撮影されているアダルトビデオだったのだ。それは俗にいう、ハメ撮りと呼ばれるものだった……。 男が片手にビデオカメラを持ちながら、女の感じる姿をすぐ目の前で撮影していく。 女が愛撫されているときの表情も、挿入している時……した後の表情もバッチリと目の前で撮れる、おもしろい視点のビデオだったのを憶えている。 そしてそのハメ撮りというジャンルに興奮したのも……憶えている。 ということは、これはさっきまでのベッドやそこらからの映像ではなく、富竹が手に持っているカメラからの視点……? レナの恥ずかしい、撮らないで…という言葉が何よりもその事実を忠実に物語っていた…。 「ダ、ダメだよぉ富竹さん……こんなところ撮られたら、レナ恥ずかしくて死んじゃいそうです……」 「あはは、やっぱり恥ずかしいかい? まあ僕はフリーなカメラマンだからね。 かぁいいレナちゃんの姿、これでバッチリ撮らせてもらっちゃおうかな?」 く……と、撮らせてもらっちゃおうかなじゃねえ! て、てめえは……てめえって奴は、こんなことまでしてレナを辱めようってのかよ、く、くそがぁぁぁぁ! こんなの撮られたら、女の子はもうお前の言いなりってことじゃねえかよくそぉぉぉおおぉぉぉ!!! ……ああでもやっぱかぁいいなレナレナ俺のレナ。 画面いっぱいにレナのかぁいい顔があって、ウルウルした目も火照ったほっぺもすげぇかぁいいよぉぉぉあぁちくしょぉぉぉ!! こ、こんなかぁいいレナが……これから富竹の野郎に、ハ、ハメ撮りされる? レナの処女ま○こにチン○をハメられちまうってのかよなぁおいぃぃぃぃぃ!!! 身動きが取れないながらもう~う~もがく俺の耳に、またもや奴の憎たらしい声が聞こえてくる。 撮影している時にも俺に語りかけられるなんて……あぁ、たしかにあんたはたいしたカメラマンだなぁぁぁくそがぁぁぁぁ!!! 『まぁまぁ圭一くん落ち着いて。 約束したよね?レナちゃんのことをよく見せてあげるって……。 ちゃんと見せてあげるからね? 僕はこれでも優秀なカメラマンなんだよ、はははは』 また沸々と奴に対しての怒りが沸いてくるのを感じながら、俺はモニターの映像を食い入るように見つめていった。 画面がいかにも人の手で撮影されているとわかるようにブルブル揺れていき、かぁいらしいレナの顔がスっと消えていく。 細い首筋を通り越して、そのまま胸の方へ……。 もうすっかりピンピンになってしまっているピンク色の乳首が、カメラのすぐ目の前で撮影されていった。 モニター画面がレナのかぁいらしいおっぱいで埋め尽くされていく……。 「は、はぅぅ! ダメダメダメぇぇ富竹さんのエッチ! そんなとこ目の前で撮っちゃダメなんだよぉぉ……」 「あはは、ごめんごめん。 あんまりにもレナちゃんの乳首がかわいらしかったから、ついシャッターチャンスだとばかりにね? それにしても綺麗だねー、これは撮影しがいがあるよ」 「でも! あ、あん! ダ、ダメぇそこ弄られたら……あん、あん、んぅぅ……♪」 さすがに乳首なんて撮影されたら、そりゃあレナも恥ずかしいだろう。 当然嫌がる。 ……と思っていたのに、レナはあっさりと富竹の撮影を受け入れてしまった。 ダメダメという言葉があっさりあんあんという喘ぎ声にかわり、いやらしい乳首がカメラのレンズに張り付いてしまうほど超至近距離で撮影されてしまっている。 画面にはそのいやらしく震える乳首しか映し出されていないので、レナの喘ぎ声しか聞こえないが……俺にはすぐにわかった。 なぜ抵抗を止めたのかが。 また奴に『下』を弄られているのだ。 レナの喘ぎ声の中に、かすかだがクチュクチュと…水っぽい音が聞こえてきている。 つまり富竹は、この最中にもレナの割れ目を弄り倒しているのだ。 レナが恥ずかしがるのを見ながら勃起乳首を撮影し、彼女が拒むとすかさずおま○こを指で刺激し黙らせる……。 な、なんて……なんて計算し尽くされた愛撫しやがるんだくそがくそがくそ野郎がぁぁぁぁ! お、女の身体をなんだと思ってやがる! 特にレナみたいな純真な子にはそんなふうにヤっちゃいけねえだろうがよぉぉぉちくしょぉぉぉぉ!!! しかもこんな時にもなに俺はビンビンにさせちまってんだ最低野郎がぁぁぁぁ!!!! く、くそぉ、うらやま……。 それだけは言ってはいけない言葉だと思い、俺は心の中のその声をグッとガマンした。 そしてそんな俺のガマンとは裏腹に、富竹はついに下の方に……俺がもう気になって気になってしかたなくなっていた、レナの下半身へとカメラを向けていった……。 - フリーなカメラマン 生本番 ~ネトラレナ~に続く……。
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マッサージローションが必要です。 睡眠薬入りシュークリームが必要です。 m 「な、レナ。次の祭日開いてるか? 」 帰り支度をしていた私にいきなり空気読めない2号こと、圭一くんが話を掛けていた。 「……えと、何かな圭一くん? 」 正直、男の子と話すのは面倒くさいのだが一応は友達として通っている。ここは話を聞いてやる。つんと無視するわけにもいかない。 「あのさ、映画見に行かないか。一緒に」 どうやらデートのお誘いのようだった。無論私はそれを断る。大事な沙都子ちゃんのお勉強と体を見なくてはならないし、何よりなんで圭一くんなんかと遊びに行かなくちゃいけないのだ? どうせ遊び終わった後は私とセックスを求めてくるのだろう。男子ってそんな生き物だ。下半身が全ての厭らしい獣だ。気持ち悪い。 そんなに寝たけりゃ魅ぃちゃんを誘えばいいのに。あの子は圭一くんに惚れているようだし、純情で押しには弱そうな感じだし。 魅ぃちゃんがもっと年下だったらきっと私は魅ぃちゃんを手篭めにしてた。もったいないなあ。しかも魅ぃちゃんは双子の姉。生まれがもう少し遅かったら、双子幼女の姉妹丼を私はきっと企てていただろう。なんだかんだ言って魅ぃちゃんは美人だし、双子の妹のほうも気は強いが私と同じくらい可愛いしね。今度あの二人の幼い頃の写真を借りようか。 新しいおかずにはなってくれるかもしれない。 話題は戻るが最近、圭一くんに悩まされている。毎回のようにデートやらお泊りやらを求めてくる。 しかも結構しつこい。やんわり断ってはいるのだが本人は気にも掛けずに繰り返し誘ってくる。馬鹿な男子だ。私は沙都子ちゃんたちにしか興味ないのに。 「そ、そっか、じゃあまた暇ができたら今度は行こうぜ」 「うん、いつかまた」 そのいつかは二度とくることは無いよ。卑しい圭一くん。身の程を少しはわきまえてくれないかな。すっごく迷惑だし。 その日のHRの終わった後、私は学校に戻っていた。うっかりして忘れ物をしてしまったのだ。放課後にはほとんど誰もいなくなる夕方の分校。急ぎ足で自分の教室に向かった。 「ぁ……はぁはあ……ナ……」 自分の教室から何か妙な声のようなものがかすかに聞こえ、思わず足を止めた。 その気味の悪いような声の正体を確かめようと、ゆっくりと教室に忍んでいった。 「あ、ああ、レナ! レナぁ!! 」 その気味の悪い声は、私の名前を連呼していた。恐る恐る、閉められたドアの窓からそっと中を私は見た。 ───! それを見た瞬間、一瞬で嫌悪がこみ上げてきた。圭一くんが、あの雄豚が、誰かのリコーダーを舐りながら……ズボンを下ろしていた。 「レナの……臭いが、味が……」 信じたくはなかったがその笛には竜宮という名前が刻印されていた。圭一くんは私のリコーダーをおかずにし、みんながいない放課後を見計らって自慰をしていたのだ。 がくがくと手が震えていくのが分かる。恐ろしさではない……怒りでだ。意識を怒りに染められた私は無意識のうちに教室のドアに手を掛けていた。 「ぁ、なっ! れ、レナっ!? 」 冷めた目で無様な豚の狼狽を見据える。圭一くんは右手を硬直させたまま佇んでいた。汚い汚い肉の塊を勃起させながら。 「圭一くん、何をやっているのかな」 「れ、レナ。これ……これは……ああ」 いきなりの訪問に驚いてしまったのか、まるで口が動いていない。 「とりあえず、説明してもらえるかな」 ゆっくりと圭一くんに近づき、声の抑揚を出さずに言った。 「ち、違うんだ……レナ……全然……あの……」 「説明」 圭一くんの目の前にあった椅子に腰を掛け、その豚が何を説明してくれるのかを待った。 「……あのその……レナの笛で……」 片手で股間を隠してるのがとっても無様だ。しかも説明するスピードが遅いし…… ぼそぼそ言ってて声が小さいし。 「オナ……オナニーを、あう!!」 苛苛し過ぎて考えるより先に手が飛んでしまっていた。ひりひりと右の掌が痛い。 ぱんと小気味の良い音が教室に響いた。ちょっといい音だと感じてしまう。 ぞくぞくしたS心が少しずつ湧いてきているのがわかる。 「この変態の恥知らず、しかもその笛誰の? 竜宮って書いてあるけれど」 「はい……ごめんなさい……必ず弁償を……!!」 そばにあった机の脚を蹴り上げる。びくっと圭一くんの体が震える。 「弁償とかじゃないの圭一くん。圭一くんさ、つまり私をおかずにしてたんだよね」 「……」 聞こえないようなのでもう一度けたぐりを入れる。 「何黙ってんの犯罪者。聞こえなかったの? 」 「は、はい……レナをおかずに……してて」 相も変わらずぼそぼそぼそぼそ声が小さい。 「ふーん。ちょっと、手どけて」 圭一くんははっと顔を上げこちらをじっと見てきた。 「手をどけてって言ったの。ていうかあんまりこっちみないでくれる。気持ち悪いから」 圭一くんの気色悪い視線に耐えられずに私は言った。 少しの逡巡の後に圭一くんは股間を隠していた手をどけた。……あんなに罵ったのにも関らず、圭一くんのは天を目指すようにそそり立っていた。Mっぽいからなあ圭一くん。 グロテスクなそれから今にも白濁が発射されそうだった。 「反省の色無しだね」 「あ……あぁレナ……」 びくびく震えているそれを見ながら私は妙案を思いついた。圭一くんに私の恐さを教え今後、近寄らせなくする冴えた方法。しかも視覚的にも結構面白いかも。 「いいよ、圭一くん続けて」 「……えっ? 」 「続けてよ」 「続けるって……」 「頭やられたの? オナニー続けるに決まってるでしょ? 」 本当にバカになっちゃたのかと思ったが理解はできているようだ。きっと股間に血が回りすぎて頭の処理が遅れたのだろう。 「さっさとやって。じゃないとみんなにばらしちゃうよ? 」 ふふ、初めはどうなることかと思ったけれど、今日はちょっとだけ面白い余興が見られそう…… ゆっくりとした動作で圭一くんはペニスを右手で上下し始めた。 「へえ、男子ってそんな感じでやってるんだね」 「はあはあ……」 突き刺さる視線が快感に変わっているのか、ペニスをしごく速度が格段に上がっている。 「ねえ圭一くん、恥ずかしくないの? 人前で、クラスメイトの前で自慰してるのに」 「あ、ああ……レナ……」 ちらちらと痛い視線を感じる。申し訳なさそうな視線が私のSっ気を燻らせていく。もっと近くで虐めてやろうか。その方が圭一くんもうれしいだろうから。 「ふふ……」 席を立った私は圭一くんの真横まで移動する。突然の私の行動にびっくりしたようでその右手の動きを止めた。 「レ、レナ? 」 そのまま接近し圭一くんの横から肩を抱いてやる。私の横乳を少しだけ当ててあげる。 「……ねえ圭一くん。自分の手だけでやってて気持ちいい? 本当はさあ……ほら、手を休めないで……レナの手でやって欲しいって思ってるんでしょ? ……違う? 」 レナの手という言葉が出た瞬間、圭一くんはくぐもった息を吐き出してきた。 「ほら、こうやって……」 「あ、あう! 」 ───ふふふ、まだ触ってないのに…… 男って本当に変態。私の指をペニスに触れるか触れないかのところにかざしている だけでこんなにも興奮しているんだもの。 「ほらぁレナのお手手でしごいて欲しいいんでしょ? もう少しで触れちゃうよう? 」 高速でしごかれているペニスのすぐ真横で指でしごく仕草をしてやる。 「あ、ああ、レナの……手が……指がぁ」 「もう少し我慢したら、してあげるから……もうちょっと頑張るんだよ? 」 艶めかしく動く私の指を圭一くんはおかずにしてるようだった。もう尿道口からは多量の我慢汁が垂れている。しゅっしゅっと肉棒を動かす音が教室に響く。 「ほら、もう少し、もう少し」 「レナ……! もう……俺! 」 圭一くんのはもう爆発寸前。もうすぐに臭くて白い液体が飛び出てきちゃうだろう。 馬鹿な圭一くん。もちろん私がそんな汚物をしごく……触れてやるわけが無い。 このまま煽るだけ煽って帰ってやろう。ごめん圭一くん、夕飯の支度しないといけないから帰るね、とか言って。 圭一くんの情けない顔が想像できてとっても愉快だ。 と、思っていた瞬間だった。 「ああっ! もう我慢……! 」 ───つまらない男……もう出してしまうのか……っ?! イってしまうのかと思ったがそうではなかった。圭一くんはペニスの真横にあった私の手を掴むとそのままペニスに添わせた。そして私の手の上からペニスを握り締める。 無理やり手コキを強要させられたのだ。男の力に抗うことができずに私は圭一くんのペニスから手を離すことができなかった。そのまま高速でしごかされてしまう。 「……!?ちょっと、圭一くん!」 「ああ、ごめんレナぁ! ごめんなさい! 」 気持ち悪い肉の感触が私の手のひらを包み込んだ。圭一くんの謝罪が何度も耳に障る。 「あっあっあ!! うああ!! 」 しごかされていた指から脈動が感じられた。尿道口へと位置を変えられた私の掌に圭一くんは全てをぶちまけたのだ。熱い液体のほとばしりが数度に渡って感じられる。 体を震わせて射精の余韻に浸る圭一くんは、だらしなく口を大開きにして荒い呼吸を繰り返していた。 「……きたな……うわぁ……きたない……」 臭くてねばつく白濁が私の掌のほとんどを染めていた。 「ごめん……な……レナ」 こいつ……私の掌で……しかも勝手に、予告も無しに……!! かっとなった私は汚された左手で思いっきり圭一くんの頬を叩いていた。べちゃりと白濁が飛び付き圭一くんの頬を濡らした。 「この変態のオス豚! ※※※※※!! 」 そのまま、豚の髪の毛を掴み思いつく限りの罵詈を吐いてやった。できるだけ髪を使って手についた精液を取り除く。豚はあうあう言いながら顔を伏せていた。 付き合わなければ良かったという後味の悪さが全身を取り巻いていた。 「良かったね、圭一くん……汚い精液私にかけて満足でしょ? ……この犯罪者……」 気付くと蝉のうるさい鳴き声が教室の中まで届いていた。 「圭一くん、その笛、ちゃんと新しいのに取り替えておいてね。圭一くんの家、金持ちだからなんともないよね」 何も言わずにうつむく圭一くんにさらなる言葉を吐いてやる。 「あとさ、いっつも遊びに誘うのもやめてくれる? 気持ち悪いから本当に」 「あ、ぅああ……」 気の抜けた返事をした圭一くんに最後の言葉を掛けた。 「あとさ、もし私の沙都子ちゃんに手を出したら……………………………………………… ……………………………………………………………………………………………………… 言わなくてもわかるよね? 」 べたつく左手に悪態をつきながら、私は豚小屋を後にした。 「あーあ……」 まさかこんなところで圭一くんのお遊戯に突き合わされるとは思わなかった。 私は水道の蛇口に手を掛けた。ひねりを効かせると勢い良く水が流れてくる。 汚れた手を水にさらして清めていく。石鹸を手に取り丹念に消毒を行った。まるで全身を犯されたような感じがして体がだるい。汚された体は汚れの無い綺麗な体で清めなくては。 それができる存在は……いた。古手梨花ちゃんだ。三人の幼女のうちの最後の砦。幼女っぽく全く発育していない体はまさに聖なる存在だ。 彼女を抱くことができたら私の受けた辱めは解消されるはず。 「待っててね梨花ちゃん、必ず犯しちゃうから」 泡立つ指先をまじまじと見つめながら、私は再び水流に手をさらした。 続く -
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前回 鬼畜王K1 〜鬼誑し編・其ノ壱〜 鬼畜王K1 〜鬼誑し編・其ノ弐〜 その4からその8まで収録 薄暮(くれがた)か、 日のあさあけか、 昼か、はた、 ゆめの夜半(よは)にか。 そはえもわかね、燃えわたる若き命の眩暈(めくるめき) 赤き震慄(おびえ)の接吻(くちづけ)にひたと身顫(みふる)ふ一刹那。 北原白秋『白秋詩抄』「接吻の時」より 「け、圭一くん…やっぱり、は、恥ずかしいよぅ…」 それほど広くはない車内で、レナは生まれたままの姿で俺の下に組み敷かれている。 「オヤシロさまの祟りから、お前を守る」…その一言で身も心も俺に預けたレナは、言われるがままに服を脱いだ。 「レナ、恥ずかしがることはないぞ。とても綺麗だ…」 「は、はうぅぅぅぅ〜〜〜〜」 顔を真っ赤にして、レナは左右の手で胸と股間を隠しながらもじもじと体を動かす。 まったくかわいらしいじゃないか…さっきまでは、『オヤシロさまの祟り』とやらに怯えきっていたくせに…。 そう、祟りなんて、俺は毛頭信じていない。 オヤシロさまの祟りなんて迷信だ。事件が毎年起こるという以外、個々の事件は独立している。 独立した事件という「点」を結ぶ人為的な「線」があるにせよ、俺にとっては野望が全てだ。 そのためなら、オヤシロさまだろうと祟りだろうと利用するだけなのだ。 レナは相変わらず、覆い被さる俺の顔を直視出来ない。 俺も服は脱ぎ捨てているわけだが、レナは目を瞑り恥ずかしさに押しつぶされてしまっている。 フ、ここは一つ…。 「レナ。オヤシロさまの祟りは、お互いの疑心暗鬼が原因だ。お前が俺から目を背け、全てを受け入れないなら、オヤシロさまが祟りをなすだろう」 「…そんな…」 「だが、俺はレナを信じている…だからこうして、ありのままをレナに晒すことが出来る。信じろ…レナ」 もちろん、疑心暗鬼がどうのこうのは適当な理由付けだ。オヤシロさまの祟りを回避する方法…口からでまかせもいいところだと、我ながら呆れるくらいだ。 だが、その言葉に安心したか、レナはようやく俺を見つめて瞳を閉じる。 ふふふ、まったくもって素直だな…!俺は心の中で叫ぶ。 「 思 い 通 り ! 」 レナにゆっくりと口づける。 最初は唇を触れるだけのキス。すぐに唇を離すと、レナがうっすらと瞳を開ける。 「…ん…」 トロンとした眼。俺はレナに微笑みを向け、今度は少し長めのキスをする。 お互いの唇の感触を確かめるように。ねっとりとした感覚が、徐々に二人を昂揚させる。 「…ん…ちゅ…うんぅ…」 親鳥と小鳥がエサを啄み合うようなキスから、レナの唇に舌を侵入させる。 「んん…っ!?」 突然のことにレナは動揺したかもしれない。だが、俺の舌がレナの舌に触れることで、生温かい感触を共有する。 「…んう…れる…ぴちゅ…」 レナも、自らの舌を蠢かせ、俺の舌を舐め回す。 さらにお互いの唾液が混ざり合う。どちらが求め始めたか分からぬほど、舌を絡め合うキスになっていた。 レナはいつのまにか俺の首に腕を回し、離そうとしてくれない。 貪り合うように口内で交わり、ようやく口を離した時につうっと垂れた唾液の糸が、さらに欲情を煽った。 「…ぷはっ。…レナ、お前って見かけによらず、けっこう激しいのな」 「…け、圭一くんこそ…。すごく…エッチだよ…。お互い、初めてのことばかりなのにね」 ああ。そうだったな、俺はみんなの前では童貞ということになっているんだったっけ。 ならば初々しさも演じないとな。…レナに俺の過去を知られてもマズいだろう。 「はは、まぁ俺も無我夢中だけどな…レナを、安心させたいだけだよ。俺は」 「ありがとう、圭一くん…レナ、今とっても幸せだよ…だよ?…まだ恥ずかしいけど、圭一くんとこんなことが出来るなんて…夢みたい」 「夢なんかじゃない、俺はここにいる。…レナをこうして抱き締めて」 レナを起き上がらせ、後ろからぎゅっと優しく抱いてみる。 「レナの息づかいを、温もりを、感じている…。俺もな、レナとこんなことが出来ることが…幸せなんだ」 「圭一くん…圭一くん…」 レナは涙をすうっと流しながら、後ろ手に俺の顔を引き寄せてチュッとキスをした。 ふん…俺としたことが、ちょっと演じ過ぎだな。だがロマンチストのレナにはこれでいい。 だがそろそろ、本格的な『快楽』というやつを知ってもらわないとな…! 「ふふふ、それにしても…レナの胸、いい形してるよなぁ」 俺がむにゅっとレナの胸を後ろから持ち上げると、レナが小さく「んうッ」と声を漏らした。 レナの乳房は、魅音に比べれば小振りな大きさではあるが、手触りよく綺麗な形を整えた理想的な胸だ。 俺はそのジャストフィットな感触を堪能しつつ、レナの耳元に囁いた。 「どうしたんだ、レナ?くすぐったいのか?」 「ち、ちが…あんッ…!」 「くすぐったいなら早く言ってくれよ〜?レナの胸が俺の手にジャストフィットし過ぎで、 もっともっと触っていたいんだよ…」 「は、はぅ…ん、ぁ…レ、レナね…」 「なぁに〜?聞こえんな〜?」 「レ、レナはね…あん…くすぐったいんじゃ、なくてね…その…なんだか…あうっ…ふわふわした、感じなの…」 「へぇ、ふわふわねぇ……んじゃあ、こういうのはどうかな」 「ひゃんッ!」 言葉と同時に、乳房の先に有るピンク色の突起物をつまみ上げる。 レナはビクンと跳ね上がったが、構わずにそのまま乳首を重点的に刺激する。 「はうっ!け、圭一く…んああぁッ!そ、そこはぁ…!」 「『そこは』とっても気持ちいいんだろ!?お互い隠しごとは無しだぜ、レナ!」 さっきよりも乳房を強く鷲掴みしつつ、乳首をこすり上げるようにつまむ。 レナの声が一段と大きくなり、乳首の刺激だけでオルガスムを感じているのかと思わせるほどだ。 「あ、あんっ!圭一くんっ…!ダメぇ、気持ちいいの!ん、ん、んあっ!…け、圭一くんに触られる度に、レナね、ヘンになっちゃうの!」 「それでいい、レナ…今のレナはとってもかぁいいぜ。胸も、乳首も、みんなかぁいい!」 「は、はぅっ!レナ、かぁいいの?…ヘンじゃ、ない?」 「ああ、レナの体も、心も、みんなかぁいい。愛しくて仕方ない…」 「はうぅ…そう言われるとレナ、もっとふわふわした気分だよ…だよ」 「ふふ、そうかぁ…ふわふわねぇ。それでな、レナ。さっきから足をムズムズ動かしてるが、どうしたのかな…かな?…くくく」 レナは思わず股間に目を遣って、赤くなる。 バレバレだぜ、レナ…そこを隠すのはもったいないぞ、ククク… 俺は右手をレナの股間に滑り込ませ、すでにびしょ濡れの秘所にクチュリと指を這わせた。 「だ、駄目ッ、圭一くん!そ、そんなトコ、汚いよぅ…」 レナは俺の右手を侵入させまいとするが、するりと股間に潜り込ませた指がレナのアソコに触れた。 クチュリと音を立て、レナの女自身をなぞる。 「ふあぁッ」 ビクンと跳ね上がるレナの身体。胸を揉まれるどころではない、直接的な刺激を受けた時の女の反応だ。 「ひあぁッ!け、圭一くん…!」 クチュクチュとレナの秘所をまさぐる。最初は一本、次は二本の指で。縦横に指でレナを悦ばせる、楽しくてたまらない…! 「ふははは、レナ、もう大洪水だな!もう俺の指がふやけてるぜ、濡れまくりだなァ、おい?」 「は、はぁう…そんな、レナ…んあぁぁあ!」 「はっは、だけど恥ずかしがることはないぜ。これだけ濡らしてるってことは、レナが十分気持ちよくなってくれてるってことだからな」 俺はレナを正面に向かせ、がばと股を開かせてレナのアソコをまじまじと見つめる。 「ああ、レナのここは本当に綺麗だな…ピンク色で、形は整ってて」 「は、はぅ…そんなに、見つめないでぇ…レナのそんなトコ…」 「『そんなトコ』だって?何言ってんだよレナ…かぁいいもの持ってるくせに、そんなに謙遜するなよ」 指でパックリとオマンコを開く。ぴったりと閉じられていた貝型が、内部を露にする。 「ふぁあ…」 「レナのここ、本当にかぁいいなぁ…。ふふ、この溢れ出す汁…こいつもいただきだな」 俺はレナの股間に潜り込み、舌を尖らせジュルリと口付ける。 「んんあああぁッッ!!!」 突然の刺激に、レナは嬌声を上げる。構わずにジュルジュルとオマンコを舐め回すと、レナの声がさらに大きくなる。 「ひああああぁッ!!!あ、あああんんッ!!!!圭一く、んんんッ!!!」 「…ぷはッ。…レナ、どうだ?気持ちいいか?」 「き、気持ちいいよぅ!…レナ、レナ…アタマがおかしくなりそう!」 「ははは、そりゃ良かった…なら、もっともっと気持ち良くなってほしいな」 言葉が終わると同時に、俺はぷっくりと膨れ上がったクリトリスに口付ける。 「ひゃああああぁぁぁッ!!!」 今までで一番感じているようだな、レナ…だが、こんなもんで満足されたら、後が続かないんだよ。 俺は舌でクリトリスを転がす。ひくひくと震えるソレを蹂躙するたびに、レナの秘所はさらに濡れていく。レナの限界はすぐそこだった。 「うあああぁッ!!!ダ、ダメぇ!!!圭一くん、もうダメだよ、だよおッ!!!」 「いいぜ、レナッ!!イきそうなんだろ?…存分にイっちまえッ!!!」 「あ、あ、あッ、イっちゃう、イっちゃうよぉ!!!!んんああああッッ!!!」 クリトリスをカリッと甘噛みした瞬間、レナの躯が大きく仰け反った。 ビクンビクンと数秒間は震え、力なく仰向けに倒れ込んだレナは、乱れた呼吸を整えようとしていた。 「はぁ…はぁ…はぁ、う…」 「…どうだった、レナ?…」 「…す、すごく気持ち良かったよ…。レナ、こんなの初めてだよ…だよぉ…」 「そうか…レナが悦んでくれたなら、俺も幸せだよ」 「はうぅ…圭一くんも、幸せ?」 「ああ、俺はレナが悦んでくれるのが一番だ…だがな、一つだけ残念なのは…レナと一緒になりたいけれど、まだそれが叶わないことだ」 俺はレナの手を取り、既に大きく怒張したペニスに触れさせる。 「…!け、圭一くんの…男の人のって…こんな風になってるんだね…」 「ああ、レナが気持ち良くなってるのを見ながら、俺のもこんな風になっちまったんだ…正直、このままじゃ辛いんだ…」 「つ、辛いの、圭一くん…?ど、どうすればいいのかな、かな…」 おずおずとした手つきながらも、レナは俺の怒張を擦り上げる。 どうすればいい、だって…?決まっているじゃないかレナ、本当は分かっているんじゃないのか、クク…。 「簡単なことさ、レナ…こう言ってくれればいい…」 …あの清純なレナが、これから俺の言う通りのことを口にすると考えるだけで…自然と口端が吊り上がってしまう。ククク…。 俺はレナの頬を愛おしげに指でなぞる。そしてレナの耳元に近付き、こう囁いた。 「レナは圭一くんの××××××です。どうかその××い××××で、レナの××××を××××して下さい…レナをオヤシロさまの祟りから、守って下さい」 「——ッ!」 「ククク…さぁ、言ってくれ…レナのここを開きながら、俺に『お願い』するんだ」 レナのオマンコをグチュグチュといじりながら、俺はレナの眼を見据える。 言葉にすることへの恥じらいと、その後に訪れるであろうかつてない快楽への期待。 二つの気持ちが、レナの中で渦巻いている…だが、俺には分かっていた。レナの選択肢は一つだ。 『オヤシロさまの祟り』を回避するためには、俺が必要…!レナはもはや、俺の存在無しには生きられないんだよ!! レナは顔を真っ赤にしながらも、自分の指でオマンコを開きつつ、ぼそぼそと喋り出した。 「…レ、レナは…圭一くんの、オ、オチンポ奴隷です…。どうか、その大きいオチンポで、レ、レナの…」 「続きだ、続きを言わなければ意味が無いぞレナッ!!!俺はお前を守ると約束した、だからお前も応えてくれ、レナ!!!さぁ、言うんだ!!!」 レナは俺の顔から目を背けていたが、その言葉で意を決したように、俺に泣き腫らした瞳を向けてきた。 「レ、レナのオマンコをッ!思いきりズコバコして下さいッ!!レナをいっぱいいっぱい幸せにして、オチンポで気持ち良くして下さいッ!!! このままじゃ、レナのココ、切なくておかしくなっちゃいそうなのッ!! …レナを、『オヤシロさまの祟り』から守って!圭一くんのオチンポで、レナの穢れた身体を綺麗にしてッ!!!」 涙ながらに哀願し、自らオマンコをグチャグチャといじって俺を受け入れようとするレナの姿を見て、俺はこの上ない満足感を得た…。 …堕ちたな、レナ…今この瞬間に、お前は俺のモノになったんだ…これから俺無しでは生きられない、俺の忠実な僕として生きることになるんだよ…! 「ふ…ふふ…あはははははははは!!!!」 俺は堪えきれずに笑い声を上げてしまう。 だがレナは、俺に構わず自分自身を慰めていた。もはや、更なる快楽を貪りたいという一念以外に無いのだろう。 「…んぅ…ん、あ、は、はぁ…け、圭一くぅん…もう、レナね、レナね…」 「くっくっくっく…ああ、そうだな…レナ、俺と一つになろう。レナはもう、オヤシロさまの祟りを恐れずに生きていける。俺がこれからずっと側にいるのだから…」 「圭一くん…」 甘い言葉とともに口づけると、レナの頬に涙が一筋伝う。 貪るようなキスを交わした後、レナのオマンコに俺自身を突き立て、ゆっくりと挿入していった。 次回 鬼畜王K1 〜鬼誑し編・其ノ参〜<捕食>
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口移し編(???×レナ)の続きです。 口接し編(圭一×レナ) それからどのくらいの時間が経ったのだろうか……。 「―――ナッ! レナッ!」 遠くから誰かに呼ばれているような声が耳に届き、竜宮レナは目を覚ました。 「ん……ここ…は……?」 「レナ、よかった……。さっきから魘されてたんだぞ?」 「け、圭一くん?」 レナに呼びかけていたのは、前原圭一その人だった。 「安心しろ。もう大丈夫だからな?」 圭一の助けを借りながら、ゆっくりと上体を起こして周りを見渡すと、外は暗いながらも、自分の秘密基地の中だということが見て取れた。 ……同時に、先程自分の身に降りかかった出来事をはっきりと思い出す。 ―――あぁ…そうだった。私は……。 レナの脳裏に、宇宙人を殺そうとして逆に組み伏せられ、抵抗も空しく無理やり唇を奪われながら液体を飲まされるという、死に勝る屈辱を味わわされた記憶がフラッシュバックする。 今のところ身体の表面に変調は見られないようだが、いつどんな症状が現れるか判らず不安が波のように押し寄せてきた。 ―――まさか、あれには宇宙人の卵か何かが入っていて、今頃お腹の中で……。そういえば、何かされたような感じが……。 途端に全身が恐怖と悔しさと絶望でガクガクと震えだし、喉から嗚咽が漏れ出してくる。 「う……あぁ………うわあぁぁぁぁぁぁん!!」 「おい、レナ? どうしたんだよ!?」 圭一はいきなり抱きついてきて泣き喚くレナを何とか落ち着かせようとするが、彼女は極度のパニックを起こしていた。 「いやだっ! レナのお腹の中に奴らが、奴らがぁ……っ!」 「落ち着けっ! 俺がついてるから!」 放っておけば、自分自身で本来の意味での綿流しをやりかねない勢いだ。 仕方なく、圭一が半ば強引に抱き締めて懸命に宥めると、レナは何とか泣きじゃくる程度にまで落ち着いた。 「ひっく、ご、ごめ、ごめんね……。うっ、で、でも…、レナ…は、……も、もうすぐっ、し、死んじゃうの……っ!」 そして、自分が宇宙人から謎の液体を飲まされたことを涙ながらに訴える。 しかし、それに対する圭一の返事は意外なものだった。 「あ……。それは違うんだ。あれを飲ませたのは俺なんだ」 「……えっ? ど、どういう…こと?」 レナは不審げに圭一の顔を見上げる。 「か、勘違いするなよ? レナに飲ませたのはちゃんとした薬だし、非常時だったんだからな!」 圭一は、近頃のレナの様子がおかしいことに気付いていた。 ふとした事からそれを梨花に話すと、彼女は極めて深刻な表情でレナが雛見沢症候群を発症しかけている可能性を告げた。 そして、二人で一緒に入江診療所に出向き、入江に事情を説明すると、彼は快く治療薬を渡してくれた。 幸いなことに、あれから研究を進めた結果、注射ではなく、暴れるような患者に摂取させやすい飲み薬としての治療薬が新たに開発されており、それさえ飲ませれば一応は大丈夫とのことだった。 しかし、飲み薬になったとはいえ、L5になりかけている相手に薬を摂取させることは、下手をすれば返り討ちに遭いかねないことを、梨花はこれまでの経験から充分承知していた。 そのため、あまり気は進まないものの、レナと互いに信頼しあっている圭一に全てを託したのだった。 最初は何とか口車に乗せて飲ませるか、持ってきた飲料水に混ぜて飲ませる作戦だったのだが、予想に反していきなりレナが襲い掛かってきたため、万一に備えて梨花から預かった目潰しスプレーと、護身用の金属バットを使い、やむを得ず口移しで飲ませることになってしまったというわけである。 「だからさ、レナ。宇宙人なんてのはレナの幻覚」 「嘘だッ!!」 説明を終えかけた圭一に浴びせられたのは、耳を劈くようなレナの怒声だった。 「レナは病気になんかなってない! あれは間違いなく奴らだったんだから!」 症状が一応は治まったはずのレナがここまで圭一を否定するのは、好きな人を化け物顔の宇宙人と認識してしまったことを認めたくなかったからだった。 しかも、見間違えるだけでなく、懸命に自分を助けようとしてくれた彼を殺そうとまでしたのだから……。 圭一は再び興奮状態となったレナを何とか宥めようとするが、彼女は頑として譲らなかった。 「レナ、落ち着けよ。なっ?」 「信じない、レナは絶対信じないから! どうしても信じさせたいなら、あれが圭一くんだったってことを証明してみせてよ!」 これにはさすがの圭一も困り果ててしまうが、しばらくして、レナを信じさせる一つの方法を考え付く。 少しばかり犯罪な気もするが、これも好きな女の子を助けるためだと自らを無理やり納得させる。 というか、ついさっきやりかけたわけだし……。 『口移し編 解(圭一×レナ)』を読む。 そして、押し黙っているレナのほうに向き直ると、真剣な表情で話しかけた。 「レナ、もし証明することができたら、俺の話を信じてくれるんだな?」 「……あはは! いいよ、信じてあげる。証明なんて、できるわけないけど!」 「できるさ。それも、今すぐにな」 言うなり圭一は、いきなりレナを床に敷かれてあるシーツの上に組み伏せ、無理やり唇を重ね合わせる。 「なっ!? んっ、ちょっと、圭一く……」 レナは不意の出来事に面食らいながらも、彼を押し退けようと両手で力一杯胸を押し、膝をばたつかせるなどの抵抗を試みるが、如何せん弱った身体ではどうにもならず、彼にされるがままとなる。 やがて、レナの呼吸が苦しくなってきた頃、圭一はようやく唇を離した。 「……どうだ。信じる気になったか?」 圭一の問いに対し、レナは息を切らせつつも無言のまま顔を背ける。 ただし、嫌悪の表情は見せず否定もしなかった。 唇から中には入ってこなかったものの、あの時、宇宙人にされたのと同じ口付けの感触だったことをレナは思い出したのだ。 それと同時に、奪われる形だったとはいえ、ファーストキスの相手が圭一だったという事実はもはや疑いようがなく、彼女を心の底から安堵させるのだった。 そんなレナの様子を見て、圭一は内心では自分の話を信じたことに気付いたが、口には出さずに彼女の髪を撫でながら、わざと意地悪な笑みを浮かべる。 「しょうがねぇ。こうなったら、信じてくれるまでとことんやるしかねえな」 「えっ―――? んんっ!」 驚きの表情でこちらに顔を向けるレナの唇を、圭一は自分のそれで再び塞ぎ始める。 今度は優しくゆったりとした動作で……。 「んーーーーっ! う…んっ……!」 抗議の呻き声が漏れているが、今度は手足をばたつかせることなく、レナは大人しくそれを受け入れていた。 それを確認すると、圭一は一旦唇を離し、そっとレナの耳元で囁く。 「信じたならはっきり言えよ。だけど、言わないなら俺も今度は容赦しないぞ?」 「ふぅ…ぁ……」 レナは紅潮した虚ろな表情で呻くのみだった。 まともな返事などできるわけがない。二度のキスで脳内を甘く刺激され、すっかり脱力させられてしまったのだから。 ―――あれ…レナ、どうしたん…だろ? 力が…入らない…よぅ……。 そんなレナに、再び圭一がニヤリと笑みを浮かべる。 「ったく強情だよなぁ。……じゃあ、覚悟はいいなぁ?」 「…う…待っ…て、レナ…信じるよ。信じるからぁ……。んぅ―――」 やっとの思いで紡ぎだした言葉を圭一は敢えて聞き流す。 そして予告どおり、今度はやや強引にレナの唇を奪い、抉じ開け、舌をじわりと中へ侵入させ、怯えたように逃げ回るレナの舌を緩やかに捕らえて絡ませることで、これ以上の発言を封じてしまう。 ―――あっ……やっ…圭一…くん…の…うそつ…きぃ……。 さらに、無抵抗なのを良いことにレナの胸をお触りし始めた。 衣服と下着越しながら、程よい大きさの膨らみが、彼の掌に包まれて丹念に揉み込まれていく。 ―――ひゃ…う……ぅ…うあ……いやぁ……えっ…ちぃ……。 口を塞がれていなければ、とっくに喘ぎ声が漏れていただろう。 ここにきて、レナは彼が口付けだけで済ませるつもりではないことを悟るが、すでに手遅れとなっていた。 彼の腕が別の場所へと伸びてきたのだ。 普通ならこうなる前に圭一の顔面に光速パンチをお見舞いするのだが、全身の力が抜け落ちている今となっては、彼の胸を弱々しくポカリと叩くのがやっとだった。 すると、叩いたお返しだと言わんばかりに、圭一はレナの肩や腰に腕を回して完璧に捕獲し、身体をぎゅうっと密着させて、彼女の艶かしい肢体がうごめくのを全身の肌で感じ取り始める。 ここまで密着されては、もはや逃れるどころか押しのけることも不可能だ。 すでに彼の唇はレナの口から離れ、頬や首筋を沿うように舐め回していた。 それにより、今まで漏れることのなかった彼女の喘ぎ声が徐々に解放され始める。 声を聞かれる恥ずかしさに耐えられず、何とか喉の奥に押し込めようとするものの、それ以上に圭一の愛撫が堂に入っており、とても抗えるものではなかった。 「……ふぁ…んぅ……だめぇ…っ…やめ…てぇ……やぁ…っ…」 そして、そんな声の一つ一つが圭一の脳内をさらに蕩けさせていく。 もはやレナは、舌なめずりする貪欲な狼に捕らわれ、弄ばれる哀れな子羊でしかなかった。 理性までも削ぎ落とされかけている彼女の脳内を占めているのが、食べられる恐怖ではなく、くすぐったさを伴う快感という点が異なってはいたが。 ―――はぁ…ぅ。 せめてもの抵抗として―――いや、彼に屈服した意味が大なのかもしれないが―――レナも圭一の背中に腕を回し、自らの身体、特に胸をきゅっと押し付ける。 どうやら効果はあったらしく、圭一の抱き締めてくる力が俄然強くなるのを感じる。 やがて、腰に回されていた腕がスリットの間から静かに侵入して柔らかな肌を這い回り、肩を抱いていた腕が着ている服を器用に剥ぎ取り始め、同時に首筋をなぞっていた頭が胸元の膨らみへと滑り落ちていくのを、彼女は何一つ抗おうともせず従容と受け入れる。 レナがその身の全てで圭一を求め、彼が痛みを伴う行為でそれに応えたのは、それから間もなくのことだった。 肌合し編(圭一×レナ)へ続く
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「放せっ! 放せよ畜生っ!」 羽交い締めにされながらも俺は叫んだ。 しかし、どれだけ藻掻こうが、その縛が解ける気配はない 「くすくすくすくす。……威勢はよかったけれど、どうやらこれでチェックメイトみたいねぇ……」 心底楽しいと言わんばかりに、鷹野さんが嗤う。 山狗を甘く見ていたつもりはない。 けれど……誤算だった。 鷹野さんが放った銃声に気を取られた一瞬の隙に、俺達は次々と彼らに取り押さえられてしまった。 「三佐。……こいつら、どうしましょうか?」 「うーん。そうねぇ、……どうしようかしら?」 その、まるで夕食の献立を考える程度のような軽い口調が癪に障る。 鷹野さんは真っ赤な唇に親指を当て……、やがてにぃっと笑みを浮かべた。 「ねぇあなた達。見張りや尾行って、忍耐力がいる仕事よねぇ?」 「え? ……はぁ……はい」 鷹野さんは軽やかに、目の前の隊員に密着した。 「あ…………あの? 三佐?」 その豊満な胸を押し付け、色目を向ける。 「そういう辛い任務を続けて……あなた達も、溜まってるんじゃなくて? くすくす」 その不穏な気配に、俺を含め全員の血の気が引く。 「どうせなら、彼女達を好きなようにしたいって……思わない? あら? あなた、結構立派なものを持っているのね。ジロウさんにも負けないくらいよ? うふふふふ」 鷹野さんが目の前の隊員の股間をまさぐるたび、彼からくぐもった声が漏れる。 「どうせなら、彼女達を犯してみたいと思わない?」 「……うっ……くっ。し、しかし……」 この状況下でそんなことを言える程度には、偽善と言われようと、彼にもまだささやかに良心のかけらが残っていたのかもしれない。 しかし、それも所詮は脆い……。 絡み付くように、鷹野さんが彼の頬を撫で、耳元で囁く。 「あらそう……? でも、女としての悦びも知らないままに死んでいくのは、彼女達にとっても不幸なことじゃないかしら?」 それは、三文芝居そのままの台詞にすぎない。けれど、それでも男にとっては暴力的なまでに効果を発揮する。 「これは『慈悲』よ。どうせなら、最後くらい彼女達も楽しんだ方が得じゃなくて?」 その一言で、彼らは欲望を抑えていた……最後の一線を越えた。 ざわざわと下卑た声が、山狗立ちの声から漏れる。 マジかよ……こいつら……本気であいつらを……。 「このっ! ……くっ……ううっ」 「やだ。……やだ。いや……。圭ちゃん……」 「やめて。……やめてよ……。悟史君……」 「にーにー。にーにーっ!」 「鷹野っ! あ……あんたって人はあああぁぁっ!」 みんなの反応は様々だが、それすらも山狗達にとっては嗜虐心をそそる前菜に過ぎないのか……。 ゆっくりと、奴らがみんなへと群がっていく。 「ああ、言っておくけれどRにだけは手を付けちゃダメよ? オヤシロ様の巫女として、最後まで綺麗な体でいてもらわなくちゃ」 しかし、それも聞こえていたことかどうか……。 彼らは獣欲に染まった顔でみんなの服を破き、その音が闇の中に響く。 「いやああああああぁぁぁぁぁっ!!」 「やめっ……嘘……助けて…………圭ちゃ~~んっ!!」 「うっく……このおおおおおおおっ!!」 「ふあああああぁぁぁっ! あああああああああっ!」 悲鳴を上げるみんなに山狗達は群がり、覆い被さる。 その光景に梨花ちゃんは目を背け、唇を噛んだ。 俺の脳味噌も怒りで沸騰して……どうにかなってしまいそうだ。 「くすくす。あら、どうしたの前原君?股間にあるものを立派にして随分と苦しそうだけれど? ひょっとしてお友達が犯される様子を見て、興奮しちゃった? 所詮はオス猿よねぇ。ふふふふっ」 俺の目の前で、俺の大切な仲間達が悲鳴をあげ……泣き叫ぶ。 破られた服の隙間から山狗達はみんなの胸を揉み、そして頬に舌を這わせ、太股を撫でる。 「………………ふざけるな……」 歯を食いしばりながらも、俺は怨嗟の言葉を吐く。 だがしかし、鷹野さんは俺を見て嗤うだけだった。だが……構うものか、これだけは言っておかなければならない。 「――ってない」 「…………なんですって?」 ちゃんと聞いてろよこのクソボケどもが……。何度も言わせるんじゃねぇ。 「………………分かってない。お前達は分かってなあああああぁぁぁいっ!!」 俺は吼えた。そう、それこそ天を裂き大地を割る勢いで叫んだ。 そのあまりの声量に、その場にいた誰もが行為を忘れ、俺に振り返ってくる。 「貴様らの陵辱には萌えが無い。何も分かっていないただの真似事だあああっ!!」 「りょ……陵辱に……萌え?」 鷹野さんが疑問符を浮かべる。どうやら本気で分かってないらしいな。 「おい、俺を捕まえている後ろの……。何でもいい……お前の好みでいいから、陵辱で映えるヒロインを三タイプあげてみろ。制限時間は三秒だっ!!」 「え? ……ええっ!?」 こいつも必死で考えようとはしてみるが……。 「遅いっ! 気弱なメイド、生意気なお嬢様、性に疎いロリっ娘、色々あるだろうが~っ! 修行が足りん修行がっ!! 貴様それでも軍人かっ!? はい、指導指導指導っ!」 「ぎゃっ、うわあああぁぁぁっ!!」 怒鳴りながら俺が踵でげしげしと向こう脛を蹴ると、彼は悲鳴をあげて俺を解放した。ふんっ! 軟弱な奴だ。 どうやら本気で指導が必要らしいな。 「いいかお前ら、陵辱とは何だ? そうだな、合意を得ずに無理矢理に女性と姦通しそして女としての尊厳を踏みにじる行為だ。なら相手がどんな女だろうと関係無い? 女の子が泣き喚いていて、ついでに美人や可愛い娘ならなおよし? うつけ者おおおおぉぉっ!! なら何故、AVのレイプものに様々なシチュものやコスものがあると思ってる!? 消費者がそけだけじゃ得られない何かをもとめているからだろうがっ!! メイドにナースに女子校生、OL、人妻、お嬢様……そのバラエティの豊富さはもはや語り尽くせない。 だがしかしっ!! そのストーリー構成にワンパターンなものがどれだけ多いことかっ!! いきなり拉致ったり部屋に侵入したりではいスタートって、なんだよそれ? なに? AVにそんなもの期待するな? シチュ構成や設定……女優の演技なんてどうでもいいじゃん? 確かにそれもそうかもしれない。基本的に消費者が求めるのはヤってるシーンだけだ。 だがしかし、それだけエロを望む消費者に向けるならそのシーンだけ収めておけばいいじゃねぇかっ! いちいち早送りするのが面倒極まりない。テープやディスク容量、なにより時間の無駄だっ! いや、そもそもっ! 様々なシチュものってのはその過程と各ヒロインの反応を楽しみたいがために見るものだろうがっ!? その点において、シチュものを望む消費者のニーズは前者と異なると言える。 そう、それだけエロもの作品とは異なり、シチュものにはリアリティを持たせるストーリー性と演技力が不可欠なのだ。そこに手を抜いた作品って……おい、じゃあお前ら何のためにそれだけのバラエティを用意したんだよ? 中途半端だ本末転倒だろがあっ!! エロなめんじゃねええぇっ!! 金取って飯食ってるプロならプロらしくきっちりと仕事しろおっ!! 女優が泣いていて男優が怒鳴り散らすだけでレイプものだなんて名乗るお手軽作品、本官は断じて認めませんっ!! 過程をすっ飛ばして濡れ場だけを書いた首すげ替えエロSSなんて書いた日にゃ、こっちはスルーか下手すれば叩きの嵐なんだからなっ!? 何? オットセイ☆をおっきさせて言っても説得力が無い? ふっ…… 甘い甘い、俺のオットセイ☆はまだまだこんなもんじゃない。今のはせいぜい出力20%といったところだ。 つか、アニメやゲームのパロものAVの惨さは異常だと思うのは俺だけか? 完全に原作と別物っていうかもはやストーリーもシチュも似せる気無いだろ? オタクがどこで反応してるか探る気ゼロだし ……そんな仕事で金が取れると本気で思ってるのか? いやもう……むしろカツラなんてかぶらない方がいいですから……不自然だし……。orz それともカツラ不要派は俺だけですか? だいたい、三次元でオレンジや緑の髪がいるわけ無いだろ? 設定では沙都子なんかも黒髪らしいのに……。 おっと、話がずれたな。つまり、俺が言いたいのは多彩なシチュ、多彩なヒロインに合わせて責め方も変えねばならんということだ。 ただ襲うだけなら猿でも出来る。日光猿軍団に入門して反省ポーズでも取っていろ。 聞いているのか貴様らっ!? 今まさに貴様らがしようとしているのがそれだ。 レベルが低すぎる、恥を知れえええええぇぇぇぇっ!! 俺が教育し直してやる。今夜はただで帰れると思うなよ? 返事は押忍かサー・イエッサーだっ!!」 しん と、その場が静まりかえって……。 ……ったく、つくづくこのボンクラどもはっ!!!! 「返事はどうしたっ!!」 『……さ……、サー・イェッサーっ!!』 よーし、敬礼だけは一人前だな。 俺はレナへと近づき、手で合図して周囲にいた山狗をどかせた。 「まずはレナだ。…………そうだな。レナは――」 ごくり と山狗達は唾を呑んだ。 「あ、あの……圭一君?」 怯えるレナの前で、俺は目を細めた。 服を破かれ、半裸になってへたり込むレナの顎を持ち上げ、俺は怒張を取り出した。 「レナ……奉仕してしてくれよ」 「ほ、……奉仕って……なに……かな? かな?」 瞳を潤ませ、顔を蒼白にしながら……そのくせ媚びた笑顔を作りながらレナは俺を見上げてくる。 ああ、いい表情だ。今すぐにでもぐちゃぐちゃにしてやりたくなるほどに……そそるぜ、レナ。くっくっくっ。 俺は自分のものをレナの顔の前に持っていく。 「んー? 奉仕か? そうだな、俺のものをかぁいがってくれればいいんだぜ。……簡単だろ?」 「か……かぁいがるって、どんなこと……するのかな? かな?」 レナの頬に怒張の先を押し付けると、レナはびくりと震えた。 「そうだなあ。ウブなレナには分からないか……」 「う、うん……レナ、全然分かんないんだよ? だから――」 「レナの口で俺のものをくわえ込んだり、かぁいくぺろぺろと舐めてくれればいいんだ。丹念に……優しくな」 俺の台詞に、レナは思わず悲鳴を上げる。 「や……やだ。そんなのやだ……。お願い圭一君、許してよ……」 涙目になりながら、レナは俺に懇願した。 「いいのかレナ? そんなこと言って……」 くぅ とレナが小さく呻いて……涙が一筋、その目から零れた。 ……やがて、レナは覚悟を決めたのか、ゆっくりと俺のものに顔を近付けて……舌を伸ばした。 たどたどしく……しかしそれでも懸命にレナは俺のものに奉仕する。 「んっ……はっ……んぶぅ……ふぅっ……んんっ」 生暖かい唾液の感覚……ときおり俺のものに歯が当たり、その度に上目遣いに哀願するその目が、俺の情欲の炎を更に燃え上がらせていく。 俺のものが脈打つたび、レナの瞳に怯えの色が浮かんだ。 「ほら……レナ。何やってんだよ。もっと舌を丹念に絡めて……手も使うんだよ」 「んぐっ。んぐぅううううぅぅぅっ!」 レナの頭を掴み、俺はぐいぐいとレナの口腔を肉棒で犯した。 ぽろぽろとレナの目から涙がこぼれる。 ああ……いいぜレナ……最高だぜ。 このままイってしまいたいくらいだ。 しかし、俺はそこでレナの口から俺のものを引き抜いた。 「もういいぜ。レナ」 「う……うん。それじゃあ、もう……」 ほっとしたような表情を浮かべるレナに、俺はにやりと笑みを浮かべた。 「ああ、今から挿れてやるぜ」 途端、レナの顔から血の気が引いた。 「そ……そんなっ! 圭一君。約束が違う……」 「うるせぇっ! そんな約束、した覚えが無ぇなぁ? ぐぇへへへへぇぇぇっ!」 「やだああああぁぁぁぁぁっ!!」 俺は嗤いながらレナに覆い被さっていった。 じたばたとレナが藻掻くが、知った事じゃない。 強引にレナの股に手を伸ばし、パンティを引きちぎる。 「やだっ! やだやだ……お願い。許して……許してえええぇぇぇっ!!」 泣き叫ぶレナの上半身を押さえ付けながら、怒張をレナの入り口へとあてがう。 くそっ……やっぱり固いな……だがっ!! 「うっくっ。……うあああああぁぁぁぁぁっ!?」 びくんっ とレナの体が大きく痙攣する。 俺はレナを強引に貫いた。 濡れてもいない……しかも初モノのレナの秘部は、ぎちぎちと俺のものを締め上げてくる。すげぇ……こいつぁ気持ちいい。最高だ。 まるで金魚か何かのように、レナが俺の舌でパクパクと口を開けている。 俺はレナの乳房を鷲掴みにする。……くくっ。こいつもいい。実に俺の手によく馴染む。あつらえたかのように手のひらに吸い付いてくる……。 むっちりとした弾力が堪らねぇぜ。 夢中になって俺はレナの胸の感触を味わう。 「ひっ……うっ…………うぅ……」 呆然とした表情で、レナは涙を流し続ける。 そして俺は、ピストン運動を開始した。 ガチガチに固くなった怒張で、レナの中を丹念に味わう。膣内のヒダを亀頭のカサで擦り上げていく。 「やだ……やだぁ……こんなの…………やだぁ。もう……許してよ。痛いの……本当に痛いの。お願い……だから……」 知ったことかよ。 レナの嗚咽が……ははっ……益々堪らねぇぜ……。最高だぜレナ。お前は最高だっ!! 「はっ……うぅっ……あっ……あああんっ」 「なんだよレナ? その声……感じてるのか?」 「はぅっ!? ……うぅ……っく……そんなこと…………あるわけない」 「まあ、どっちでもいいけどよ?」 望まないとはいえ、執拗に性感帯を責め続ければ、それは声も出るってもんだよなあ? くっ……しかし、俺ももう限界か。 怒張の奥で、今か今かと熱い迸りが駆け上ってくる。 「さあ……レナ? イクぜ? 出してやるぜ? たっぷりと受け止めろよ?」 「えっ!? あっ…………嫌ああああああぁぁぁぁ~~っ!!」 レナの悲鳴を聞きながら、俺は精液をレナの中に注ぎ込んだ。 (妄想:レナ編終わり) 「――と、いう感じはどうだ? メインヒロインで正当派な娘こそ、正攻法でスマートに心を折るのがポイントだ」 『おおおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!』 俺がレナを陵辱するパターンの説明を終えると、山狗達は歓声をあげた。 くっくっくっ……どうやら少しは学んだようだな。 「じゃ、……じゃあ、このポニーテールの娘はどうするんで?」 「魅音か……? そうだな……魅音は――」 「け、……圭ちゃん?」 俺が舐めるように視線を向けると、魅音はびくりと体を震わせた。 俺が魅音の前に立つと、魅音は怯えた表情を浮かべた。 「ああっ! いやっ! やだっ! やめてよおおっ!」 魅音の叫びに酔いしれながら、俺は魅音の上着を破いていく。 ブチブチとボタンが飛び散り、その大きな胸がこぼれ落ちた。 羞恥心に魅音は顔を真っ赤にさせ俯く。腕は背中に回して拘束しているので、胸を隠すことは出来ない。 「やだ……やだっ! 見ないで……見ないでよ」 しかし俺は魅音の声を無視してブラジャーを剥ぎ取る。 白く、たわわに実った双丘が露出する。 「くっくっくっくっ。……こんな立派な乳しておいて、見るなって言われてもそれは無理な相談だなあ」 「うっ……くっ…………ううぅ」 俺は魅音の胸を鷲掴みにし、乱暴に揉みしだく。 どこまでも柔らかいその感触が心地いい。ボリュームのある魅音の胸は実に揉み甲斐があるなあ。 「や……いやっ! そんな……強すぎるっ! お願い……お願いだからもっと優しく……」 「へえ? ……その割には感じてるんじゃないのか? 乳首もこんなに固く尖らせてるぜ?」 俺の手のひらから、コリコリとした感触が伝わってくる。 「そっ!? ……そんなわけ……ない。そんなわけないもの。…………はぁ……はぁっ」 自信なさげに呻きながら、魅音が内股を擦り合わせるのを俺は見逃さない。 にやりと俺は笑みを浮かべた。 「きゃああっ!?」 俺は魅音のスカートの中に手を突っ込み、そしてパンティの脇から魅音の秘部へと手を伸ばし…………もぞもぞとまさぐった。 恥毛を掻き分け、ぷりぷりした割れ目を指で丹念になぞる。 擦りあげる度に、魅音は身悶えた。 「んんっ……んっ……ふぅっ……」 俺は魅音のくぐもった声を聞きながら……ときに強く、そしてときには甘く、魅音の秘部を愛撫し続けていく。 懸命に声を押し殺そうとするものの、それも長く続くはずもない。 「や……はっ……ああっ」 魅音の口から甘い吐息が漏れ、俺はにやりと笑みを浮かべた。 「んん~? じゃあ、お前の下の口から溢れるこれはなにかなあ?」 俺は魅音の秘部から手を抜き、指に絡み付く粘液を見せる。 「そ……それは……その……」 「……お前はこんな状況で濡らす変態女なんだよお~? ぐっひゃっひゃっひゃっひゃっ!!」 もじもじと身悶えする魅音にそう告げてやると、彼女はぽろぽろと涙をこぼした。あー、この表情がいいぜ魅音。実にそそる。 「じゃあ……いくぜ?」 「い……いくって……?」 怯えた瞳を浮かべる魅音に、俺はにやりと笑いながら告げてやる。 「決まってるだろ? お前のこの濡れ濡れになったお***に俺の***をブチ込んでやるんだよおおおぉぉぉっ!!」 「や……嫌ああああぁぁぁっ!!」 暴れる魅音に覆い被さり、俺は魅音の膣内に怒張を埋め込んでいく。 「あっ……ふぅ……んんんっ!! あああぁぁっ!!」 ずぷずぷと、心地よい抵抗感と共に軟らかい肉の感触が俺のものに絡み付いてくる。くはははは……この感覚、やはり何度味わっても堪らねぇぜ。 「あっ……んあっ…………くぅんんんっ!!」 俺の下で魅音が目を瞑り、唇を噛み締めながらも甘い呻き声を漏らしてくる。 俺が腰を振るたびに、敏感に魅音の体が震える。くくく……いい反応だ。体は正直ってやつだなぁ~~魅音~~っ? 更に、俺は魅音の乳房に手を置き、そしてその乳首に吸い付く。 「ひゃっ……あぅぅうっ!?」 おお~~っ!? やっぱり魅音の乳は最高だぜっ!! たっぷりとしたボリューム、柔らかさ、滑らかな肌触り……どれをとっても一級品だっ!! 「やっ……だぁっ! そんな激しく……吸わないで……えっ!」 「馬鹿言え、これでやめろって言われてやめられる男がいるわけねぇだろ? こうなったらとことんまで犯りつくしてやるぜえっ!」 「い……いや、いやあ…………はっ……あんっ……んんっ!」 魅音の甘い呻き声をBGMに、俺は心ゆくまで魅音の膣内を俺のもので掻き回し、そして体を貪る。 そのあまりの気持ちよさに、俺が達するのもほとんど時間を必要としなかった。 「うくっ……イク……イクぜ魅音? しっかりと受け止めろよっ!?」 「いやっ……あああああああぁぁぁぁぁ~~っ!?」 歓喜に身を震わせながら、俺は魅音の膣内へと欲望を吐き出した。 (妄想:魅音編終わり) 「――と、いう感じか? M属性があれば、言葉攻め等で羞恥心を最大限まで高め、そして性的興奮に抗えないようにするまで墜としていくわけだ」 『おおおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!』 俺が説明を終えると、山狗達は歓声をあげた。 よーしよし、覚えのいい奴らだ。 「じゃ、……じゃあ、今度はこの気の強そうなのは?」 「詩音か……? そうだな……詩音は――」 「け、……圭ちゃん?」 俺が下卑た嗤い声をあげると、詩音から血の気が引いた。 「……うぅ……このっ……。殺してやる……殺してやるぅ……ううっ」 嗚咽混じりにポロポロと涙を流しながらも、詩音は悪態を吐くのをやめようとはしなかった。 後ろ手に腕を拘束されたこの状況では、それぐらいしか抵抗する方法が無いものな……。 無駄だというのに……。 「くっくっくっくっ……。いい目だ……隙あらば噛み殺さんといわんばかりのその鋭い目が堪らねぇぜ」 「ぐぅ……うううぅ」 ロクに濡れてもいない処女穴へと無理矢理挿入したんだ。痛くて堪らないはずだというのに……この活きの良さというのは、堪らねぇなあ。 にたにたと嗤いながら、俺は詩音の乳首を捻りあげる。 「うあああああぁぁぁぁぁぁっ!?」 固く……それでいてどこか甘く尖った詩音の乳首を引っ張ると、詩音の豊かに育った乳房も踊る。 「ひゃはははは。すげぇ締め付けだな。俺のものが千切れそうだぜ。乳首つままれて***締めるってどういう体してるんだよ? ……じゃあ、これは…………どうだっ!?」 パァン 「あうっ」 乾いた音を立てて、俺は詩音の頬を平手打ちした。 「くっくっくっ……面白えなあ……また締め付けてきやがった」 「ううっ……ぐっ……ううう……この……ど畜生が……くっ……うっ」 ぎちぎちに締め付ける蜜穴も最高だが、それだけじゃない。ボリュームあるその肉も最高だ。 たっぷりとした詩音の乳房を鷲掴みにしたまま、揉みしだいていく。むっちりとして張りのある弾力は、どれだけ弄ぼうと……何度でも俺の手のひらを押し返す。 「畜生……畜生……畜生……」 羞恥と怒りに真っ赤になる詩音の表情が……そして怨嗟の声がどうしようもなく俺の嗜虐心を煽る。 もっともっと彼女の泣き声が聞きたくて、何度も……何度も腰を打ち付ける。悦ばせるためじゃない……ただ、俺の快楽のためだけだ。 「ひぅっ!? ……んんっ」 幾度となく強引に蜜肉を突いているうちに、さすがの詩音も少しずつ快楽を味わい始めてきたらしい。 その口から漏れる嗚咽に、甘いものが混じるようになってきた。 「んぐぅうううううぅぅぅ~~~っ!!」 今度は乳首を強めに摘み、磨り潰すようにこね回す。 よほど痛いのか、詩音はびくんびくんと体を跳ね上げてきた。くくくく……同時に俺のものに、蜜肉が絡み付いてきやがった。 狂乱状態になりながら首を振る詩音に体重を掛け、そのまま乳首をこね回しながら俺はもう一度強く腰を打ち付け……。 「うあああああぁぁぁぁぁ~~~~っ!!??」 熱くたぎった精液を彼女の膣内に射精した。 どくんどくんと怒張が脈動して、詩音の中を精液が満たしていく。 「ひっ……くっ…………うううぅ……よくも……そんな……」 俺の下で、詩音は呆然と……表情を失った。 そして、光を失った瞳で呟いてくる。 「絶対に許さない。殺してやる……殺してやる……」 くっくっくっ……そうだな……今度は尻でも叩いてやろうか……。 どうやら、まだまだ楽しめそうだ。 (妄想:詩音編終わり) 「――と、いう感じはどうだ? 魅音やレナとは違ったタイプ……反発してくる女には苛烈な責め苦を与え続け、その反応を愉しむんだ……」 『おおおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!』 俺が説明を終えると、山狗達は歓声をあげた。 うむうむ……だいぶ分かってきたようじゃねぇか。 「じゃ、……じゃあ、このチビ娘はどうするんで?」 「沙都子か……? そうだな……沙都子は――」 「あ、あの……圭一さん?」 俺がわきわきと手を動かすと、沙都子の頬が引きつった。 大逆転!!―皆殺し編―(後編)へ続く
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朝。うーんと背伸びをする。気持ちがいい。 昨日あれだけの死闘を演じたにも関わらず、心体共に絶好調だ。いや、演じたからこそだろうな。 あんなに面白いと思ったのは今までになかった。そしてあの出来事を通じて仲間というかけがえの無い物を完全な意味で手に入れ、そして理解できた。 今日からは以前と違う世界が始まる。 みんなと笑い合い、手を取り合いながら幸せに生きていける世界。 この世界では幸せは有限じゃない。望めば望んだ分だけ幸せが手に入る。 そんな世界なんだ。 「圭一。早く朝ご飯食べなさい。遅れるわよ~」 よく見ればもうこんな時間だ。世界が変わってすぐ遅刻なんてしたくない。 俺は手早く着替えて下に降りた。 ピンポーン。 朝ご飯を食べ、学校の支度を終えたところへ丁度チャイムが鳴る。 「はいはい、レナちゃんおは・・・」 身支度を整え、玄関へ向かうとお袋が固まっていた。その理由はすぐ分かった。 「おはようございます。ご主人様。お母様。」 ぶはっ。俺は鼻血をぶちまけた。それも盛大に。 なぜなら、そこにはエンジェルモートで沙都子が着ていたメイド服を装備したレナがいたからだ。 ご丁寧に真っ白なカチューシャまで標準装備、頬をうっすらとピンク色に染めたレナに男の本能を目覚めさせない人はいないだろう。 「レ、レナ。お前まさか・・・」 「けい・・・ご主人様。これは約束だよ?朝から晩まで私がメイドさんになるのは。 はぅ、恥ずかしい・・・レナ、似合っているかな・・・かな?」 おおおもおもお持ち帰りいいいいいいいハァハァ、と叫びたいのをこらえる。 「似合わないはずがないさ。ああ、断言できる。俺が言うのだからな。間違いないぞ。レナ、とっても似合っている。可愛いよ。」 「はぅはぅ~・・・」 真っ赤になって頭から煙が上がるレナ。俺もレナとセリフに思わず赤面だ。 「ほ、ほら。二人とも遅れちゃうから早く行きなさい。」 お袋にせかされ、はっとする。時間ギリギリだ。 「はぅ~魅ぃちゃんきっと待ってるよ~。ご主人様、早くいこ?」 「それには激しく同感だが、ご主人様はやめてくれ・・・」 言われているこっちが恥ずかしいじゃないか。 「でも・・・約束が」 「ご主人様の命令だ。普通に呼べ」 「は、はい!圭一君」 何か破綻している気がするが無視。俺たちは魅音との待ち合わせ場所まで走った。 「おはよう魅音」 「おはよう魅ぃちゃん」 「もう、二人共遅いよ~。このままじゃ・・・」 魅音はレナの装備を見て呆然とする。それもそうだろう。学校にメイド服を着てくるような変人はうちの学校にはいないからな。まあどこの学校にもいないと思うが。 「魅音、興奮してもいいがするのは教室に行ってからだ。このままじゃ遅刻してしまう。」 「ちょ、おじさんはね・・・」 魅音は何か言いかけていたようだが、既に俺たちが走っているのに気づいて、遅れまいとして魅音も走り始めたようだ。 必死に走っている俺達とメイド。傍から見たらどんな光景なんだろうな。 それは2階の教室から俺たちを見ている沙都子の表情からよく分かる気がした。 「ふー、ぎりぎりセーフだな。」 「間に合ったねぇ~」 トラップを難なくクリアした俺とレナ。あの日の戦い以来、なんだか強くなった気がする。世界最強の主人とメイド、雛見沢にあり。魅音とは違うのだよ魅音とは。 「なあ、レナ。お前はクラス中から好奇の視線を集めているんだが、大丈夫なのか?」 「はぅ・・・大丈夫だよ。レナ、ちゃんと約束通りにするよ。こちらがレナのご主人様です。とっても優しいご主人様です。はぅ~」 うああああああああああ俺に突き刺さる視線が痛い。こいつ痛いよ、って目をしてやがる。畜生。こら沙都子。憐れみの視線を向けるな。 「圭一、ファイト、おーなのです。」 「おじさんも応援してるよ。がんばれチェリーボーイ。くっくっく・・・」 「圭一くん・・・」 梨花ちゃんは同情、魅音はいやらしく、レナは熱を帯びた視線を向けてくる。 「畜生。俺は仲間というものを完全に理解していなかったようだな・・・」 どうやらこの世界も都合よくいかないようだな。上等だ。本気を見せてやる。世界最強のご主人様の本気をな。 今日の部活が待ち遠しいぜ。おまえら首を洗って待ってろよ! 「ほらほら、机をくっつけて~」 お昼の時間。俺たちはいつものように机をくっつけ、バイキング形式のお昼ご飯にありつく。 「さて・・・」 さっきから梨花ちゃんがこちらを凝視してくる。気があるんだろうか。 「圭一。」 いつもの梨花ちゃんのようでどこか違う響き。ああ、あの時の梨花ちゃんか、と納得する。 俺は黙して話を聞く体制を作る。みんなも俺に習う。 「昨日は言えなかったが、礼を言う。ありがとう。本来なら起こるはずの大災害まで圭一は脚本から破ってくれた。 今私たちがここにいて、一緒にお弁当をつついている。それはとってもすごいこと。確率でいったらサイコロを振って7の目が出ること。つまり絶対ありえない事だった。 迷路には出口は一つしかない。つまり大災害は必ず起こるはずの未来だったんだ。」 梨花ちゃんの話をみんなは静かに聞いている。理解できるにしろ出来ないにしろ、ここで口を挟むのは良くないとみんな分かっているようだった。 「でも、圭一の場合は違った。迷路の壁を壊して、本来あるはずのない出口を創った。 それもみんなが幸せに生きていける未来に繋がる出口。これは確率の問題ではない。 起こるはずのない奇跡を圭一が叶えた。そう思う。そのおかげで、私が超えてきた数々の死は報われた。圭一。ありがとう。」 ぺこり、と梨花ちゃんがおじぎをする。そしてにぱ~☆と満面の笑みを浮かべた。 そこで言葉を繋げるのは無粋というものだが、俺はあえて言うことにした。 「俺だけじゃねえよ。みんながいたから、仲間がいたからこそ、だろ。俺一人じゃ、タイマーさえ見つけられずにでかい花火打ち上げるしかなかっただろうな。」 俺は一呼吸置いた。 「さあみんな、今日という日を楽しもう!遊んで遊んで遊び倒そう!俺たちでつかみ取った世界だ。どんな事したって文句は言わせない。 俺たちにはその権利がある!そうだろうみんな。だから今は飯を食おう。腹が減っては戦は出来ない。部活という名の戦争を勝ち抜く為にはあらゆる努力を、だ。」 「さすがは口先の魔術師ですわね。確かに言うことは立派ですけど、実力もそれに伴わないとお話になりませんことよ?」 「はいはい、続きは放課後!それまで勝負は無し。今はご飯。いいね?」 梨花ちゃんとレナが笑い、俺と沙都子が目と目で火花を散らし、魅音がそれを抑える。 これでいいんだ。これこそが俺たちの在り方ってもんだ。 幸せを実感している俺の横から沙都子がミートボールを奪っていく。 「てめええええええブロッコリーとカリフラワーの違いを言ってみろこの野郎がああああああ」 放課後。ついに部活の時間が始まる。 「部活の時間は私たち対等だからね?圭一くん。手加減はしないよ~」 「はっ、上等だ。おまえら全員叩きのめしてやるよ。」 「ふっふっふ、おじさんに勝つなんてまだまだ甘いね。」 「トラップは最後に一つだけあれば十分ですのよ。」 「にぱ~☆」 それぞれがそれぞれ、お互い火花を散らしあう。 くっくっく。どうやらおまえらは前原圭一をなめているようだな。罰ゲームに関係無く専属のかぁいいメイドさんがいるだけで俺の強さは格段にあがるのだよ。 思い知るがいい、男の萌えパワーを。そしてひれ伏すがいい。もはや俺に敵はいない! 「よおし、罰ゲーム決めるよ。そうだねえ・・・誰か提案ある?」 手が上がったのはレナだ。 「えっと・・・敗者が勝者の言うことを聞くのはどうかな・・・かな?」 「OK。それでいこう。やるゲームはこれね」 魅音はトランプの束を置く。それが何を意味するかは俺にはまだ分からない。 「内容はハイアンドロー。まず一番上のカードをめくる・・・”5”が出たね。そしたら次のカードは5より低いか高いかを当てる。単純でしょ?それゆえにいかさまもトラップも出来ない。」 「はぅ・・・それじゃ運任せなのかな・・・かな?」 シャッシャッと慣れた手つきでカードを切る魅音。 「運も実力のうち・・・そうでしょ?」 「そうだな。だからこそ俺に負ける要素なんて微塵もないんだがな。」 「ほえづらかいていられるのも今のうちでしてよ!」 ふん。トラップが使えない沙都子は敵じゃない。もし障害になるとしたらそれは・・・ 「はぅ・・・そのトランプかぁいいね。お、お持ち帰りいいいいいい」 レナしかいない。かぁいいモードのこいつなら運を味方につけることも不可能じゃない。 だが・・・勝つのは俺だ! 勝った。圧勝だった。まるで俺の出した答えになるようにトランプの数字が変わっているような感覚。 今の俺に勝てる者はいないだろう。運も味方につけた俺は無敵。 魅音には肩を揉ませ、沙都子にはお菓子やジュースを買いにいかせ、梨花ちゃんは膝にのっけて撫で撫でにぱ~☆することにした。 「うああああ、羨ましいっす」 頭をかかえ、こちらを見ている某二人組に見せつけるように圭一はハーレムを楽しむ。 「はっはっは。・・・おい魅音、もう少し強く。手を抜いていいなんて誰が言ったんだ?」 さすが魅音。表面上はにっこりしているが、内に秘めた怒りを感じ取らずにはいられないぜ。 俺がハーレムを堪能し、沙都子に買ってこさせたジュースを飲みながら梨花ちゃんを撫で撫でしていると、バン、と教室の扉が開いた。 「はぅ、ただいま戻りましたご主人様」 そう、レナには新しいメイド服を監督に貰って着てくるように指示したのだ。 いつもの私服をそのままメイド服にしたような、純白のメイドさん。服が真っ白なので、顔が赤く染まっているのが余計に際だっている。 恥じらっている姿と合わさって、もうそのまま抱き締めて×××をしたくなる。 「レナ、とっても似合いますです」 「うんうん、おじさん萌え死んじゃいそうだよ」 「とっても可愛いですわ、レナさん。」 俺たち全員がレナを褒め、見つめている事にまた赤くなるレナ。頭から煙があがり、壊れたように突っ立っている。萌え。 「・・・よし。時間も時間だ。俺も十分堪能したし、罰ゲームはここまで!レナ以外終わりにしよう」 終わってほっとしている魅音達だが、「え?」と聞き返してくる。 「屋根の上で俺とレナは約束したんだ。レナが負けたら俺にメイドでご奉仕、夜も返さないよ☆って」 魅音達の時間が止まった気がする。奴らが動き出す前にここを離れるべきだ。 なぜなら、罰ゲームが終了した時点で俺はただの前原圭一に戻ってしまったから。 「レナ、行こうか」 レナの腕をぐっと掴み、問答無用でそのまま引っ張って学校を後にした。 この時のスピードはモーリス・グ○―ンが「キミ、スゴイヨ」って拍手してくるぐらい早かったんじゃないだろうか。 レナも引っ張られる早さで足が宙に浮いていたし、学生じゃ絶対ありえないスピードだったな。 でも、ここ雛見沢ではありえないなんて事はないんだ。やろうと思えばなんだって出来る。家に着いた後が楽しみだぜ! そして早くも圭一の家。別名前原屋敷とよばれるこの家には、なんと両親が仕事の関係で家にいないというドキドキなシチュエーションが待っていた。 「レナ、突っ立ってないで入れよ」 「は、はい。おじゃまします」 リビングに入り、テーブルに置き手紙があるのを見つけた。 「ご飯作る時間が無かったから適当に食べて☆」 なんてこった。レナ(メイド☆)の出来たて手作りご飯を味わえるというイベントまで用意されていたとは。 「あれ、ご両親はどうなされたのですか?ご主人さま」 律儀にメイド口調で喋るレナ。意外と本人も楽しいのか、口調や仕草に堅さが見られない。 「ああ、仕事で東京に行くとか言ってたな。それに、どうやら夜ご飯が無いらしい」 「はぅ・・・二人きり・・・よるごはん・・・」 ぼん、と頭から輪っか型の煙がもくもくと立ち昇り、真っ赤に茹で上がるレナ。 「確かに想像出来なくはないが、思考が飛躍し過ぎだぞレナ」 普通のメイドはこんな思考はしないと思います。 俺の言葉を聞き、レナはあたふたと 「はぅ、れ、レナは何の事かさっぱり分かりませんです」 と慌てて言うが、 「あ・・・やっぱり分かります。レナがご飯を作る・・・作らせて頂きますね。ご主人様」 「うん、期待して待っているね」 にっこりと微笑む俺。いつの時代も優しい主人にメイドは恋心を抱いてしまうもんだ。それが現実にあるかどうかはさておき。 トントントン、とまな板を叩く音が聞こえる。テーブルの上に置いてあった蜜柑を一つだけ食べながら、リモコンのスイッチを押す。 「おらぁ、暴れんじゃねえよ」 暴れる若い女性を男性が組み敷いている、夜の公園。女性は必死に声を上げて周囲に助けを呼ぶが、声はむなしく辺りに響くだけだった。 「ぐぎゃぎゃ、ここら辺は構造に欠陥のあるマンションしかなくてな。住民はとっくに退去していないのよ! どれだけ騒ごうが無駄だぜえ」 男の言葉には絶望しか残っていなく、やがて女性はおとなしくなり、されるがままにその柔肌をピンクに染め、体を揺らす。 「・・・っ!」 ピッ、急いでとチャンネルを変える。 (何で7時台なのに激しい濡れ場なんかやっているんだ! 雛見沢放送は!) 「・・・ご主人様、どうかなさいましたか?」 くるり、とメイド専用に作られたエプロンをひらひらさせながら、レナは振り向いた。 「・・・・・・いや、雛見沢に新たな謎が出来ただけだ」 はてな、と小首をかしげるレナ。――良かった。もしレナも見ていたらとても気まずい空気が流れるところだった。 俺が冷や汗を流していたところへ、ピピピッ、ピピピッと甲高いアラーム音が鳴った。 「あ、ご主人様。お風呂が沸いたみたいですよ」 「すごいぞレナ! 料理をしているとみせかけて実は時を超越し、風呂を沸かす時間列と料理をする時間列を並列に処理していたとはな!」 レナは困ったように笑いながら 「よ、よく分からないけどレナにはそんな凄いことは出来ないよぅ。ただスイッチを押しただけだよ・・・だよ」 ご主人様の家の設備は凄いね、とレナ。 「都会じゃ割と見かけるぞ。いちいちお湯と水を加減しなくていいから楽なんだ。温度の設定も出来るし・・・まあ確かに雛見沢じゃうちだけかもしれない」 はぅ、都会ってすごいね、と目を輝かせるレナ。雛見沢も充分凄いんだけどな・・・・・・ レナに風呂入ってくる、と告げて、パジャマとタオルを持ってバスルームへ向かう。 雛見沢の家庭にあるのは「お風呂」、うちのは「バスルーム」と呼ぶのが合っていると思う。 言葉の意味としては英語か日本語かの違いしか無いのだが、雛見沢の家々とうちの家はどこか雰囲気が違うから。 それは馴染めていないとか疎外されているとか、そういう事じゃない。雛見沢の人達にはとても良くしてもらっているし、信頼し合える「仲間」だっている。 レナだって、たかが罰ゲームなのにここまで付き合ってくれている。 でも・・・・・・時々不安になる。レナが引き起こした事件は、鷹野さんが書いたスクラップ帳の魔力に取り憑かれたからなのは確かだ。 不幸を運んでくる大石さえもすっかり騙されるほどに、精巧に作られていた、それだけ影響力のあるスクラップ帳。それを何十冊も、 一人の看護士でしかない人間が作ることが出来るのだろうか。誰に殺されたのかも未だに分からないまま、妖しく微笑むその瞳に映っていたのは一体なんだったのだろうか・・・・・・ 無造作にかごに放り込まれたタオルのしわが、俺を無様だなと笑う悪魔のように見えた。 「うぁ~」 目を瞑り、シャワーを頭から染み込ませるようにゆっくりと流す。お湯は足からかけないと体がびっくりするらしいが、俺はこのやり方が気に入っているから変えようと思わない。 それに、毎日「部活」をやって心身共に鍛えられているから、この程度で体がびっくりするなんて絶対にありえないしな。 足先までじんわりと浸透し、湯を含んだ髪の毛から荒く水気を取り、丁度よい温度にセットされた、ゆとりを持って設計された湯船に身を沈める。 髪の先からとん、とん、と床を叩く水滴が落ちる。ぼんやりと無心に、それを見つめる。・・・・・・何か話し声が聞こえてきた。 はい、前原でございます。あ、いえ、私は雇われたばかりの専属メイドでして・・・・・・はい、申し訳ありませんがそれは分かりません。 ・・・はい、ご主人様は只今入浴をされていまして……はい、はい。分かりました、必ず伝えます。はい、それでは失礼致します。 …どうやら電話だったらしい。がちゃん、と電話を置く音がしてからしばらくすると とんとんとん 歩くような音が聞こえてきた。 とんとんとん、がちゃり …しゅる…ふぁさっ。――何の音だろうか。 まだ音は続いた。ぱちぱち、とボタンを外すような音。そして衣擦れの音が聞こえた・・・・・・ってまじか! 慌てて顔を扉に向ける。うちのバスルームの扉は、真ん中がモザイクがかったプラスチック? 材質がよく分からないが、人間のシルエットくらいならこちらから見えてしまう為、どんな事が起きているか、くらいは分かる。 そこで俺が見たものは ……刺激的な、妖艶な舞だった。すらりとした四肢が、ただ脱ぐ、という行為を行う為だけに艶めかしく動く。少しずつ取り払われていくメイド服。 なまじシルエットしか見えない分、否が応にも想像力が掻き立てられてしまう。――くっ・・・・・今ものすごく、この扉を開けたいっっっ! でもシルエットだけっていうのも凄く萌えるっっ! 俺が思考の矛盾に激しく悶えていると、がちゃり。レナがタオルを体に巻いてその姿を顕現させた。 ――ぶひゃっ。 鼻血が勢いよく飛び出す。俺の脳のCPUが悲鳴を上げる。 「な、なんだこいつは! 萌えのツボというツボの全てを、しかも極限まで刺激してくるぞ! ちくしょう! 地上に舞い降りた天使様あああああ」 真っ白なタオルが、レナのうっすらとピンクに染まった肌を際立たせている。顔はすでにピンク色に茹で上がっており、 恥ずかしげにもじもじしながら、目線は俺と自分の足下とをちらちらと、行ったり来たりしている。 「あ、あの! ご主人様! お電話が内容と体を洗って頂きに来ましたっ!」 ・・・・・・言っている事がよく分からない。俺のCPUがオーバークロックしているからなのだろうか。・・・いや、それはレナも同じだ! 「・・・・・・ええっと、レナ落ち着け。クールになれ。そしてちゃんとした日本語に直してくれ。俺も」 レナは大きく息を吸い込み、口から「暴走」の二文字をはき出すように、溜めた息を吐き出した。それを二回繰り返した。俺も。 「えっと、レナも一緒にお風呂に入っちゃダメかな・・・かな?」 …あ、ち、違う! お電話の内容を伝えにきたんだよ! と両の拳をグーにしてレナは言った。それは知らないな。聞いてないし聞こえない。 一緒に背中を流し合ったりあんな事したりするんだろ? もちろんOKだ。誰が断るものか。 もし断るようなやつがいたとしたら、そいつはよほど頭と目が悪いに違いない。頭が悪いどころかいかれている。そいつは頭も下半身も不能だと断言できるね。 俺の中で暗く渦巻いていた雛見沢の闇についての思考は、強力なレナのパンチによって全て粉々に吹き飛んでいってしまった。 目の前のレナという対象に、前原圭一はすっかり身も心も奪われてしまった。 確かに、ここ雛見沢では不可解な事がたくさんある。 それは鷹野さんと富竹さんの不自然な死であったり 鷹野さんの残した大量のスクラップ帳だったり 雛見沢放送の過激な内容など、まだまだ分からない事がたくさんある。 でも、きっとその答えを俺は手にしている。自分の置かれている状況が既に答えを導き出している。だからこそ、俺は想い、願い続けなければならない。 幸せがいつか終わる事、それはどうしようもない事実だ。 ――でも 俺は失った幸せを取り戻す方法を知っている。 その方法が正しい道だという事も知っている。 辛い事に遭っても、そいつを平気で笑い飛ばせるような素晴らしい仲間がいる。 困難な問題が起きても、一丸となって立ち向かう家族がいる。 ……その事に気付かせてくれてありがとう。一人の天使は、綺麗な羽が汚れてしまった。自分一人で汚れは落ちることはなく、やがて飛ぶことさえ出来なくなってしまいました。 疲労によって鬼の住む世界に通ずる沼に、その小さなからだを沈めてしまう。 もがけど、どんなに頑張ってもその手は虚空を掴むだけ。それでも意地を張って、助けを受け入れる事はしませんでした・・・・・・でも本当は、この手を引っ張って欲しかったんだよ? だから、本当にありがとう。私の小さな、本当に小さな救援信号に気付いてくれて。 窓に浮かぶ二つのシルエットは、やがて複雑に絡み合い、一つへと混じり合うように消えていった。